校内研究の動向

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 区立小学校は、それぞれが設定する教育目標を達成するため、毎年度テーマを掲げて校内研究を行っている。研究主題は、先述の「区研究奨励校などにおける研究内容の変遷」とほぼ連動しながら変遷している。前期は自主性の涵養(かんよう)、個性に応じた教育、国際理解教育、豊かな心の育成、協調性の涵養、学習意欲の向上など、多岐にわたる研究テーマが見られたが、中期には、多くの学校が学力向上と基礎・基本を研究主題とし、後期は主体性や自主性の育成をテーマとした学校が多かった。
 
■平成元年(前期)の校内研究
 平成元年度(1989年度)の校内研究には、同年3月告示の学習指導要領改訂を受け、「豊かな心」「自ら学ぶ」「個性を生かす」「国際理解」など、4方針が求める教育目標を主題に含む研究が多かった。
 自主性を主題に含んでいたのは、「自主的、自発的な学習を推進するための指導の工夫」(赤坂小学校)などである。
 個に応じた教育を研究テーマとしたのは、「進んで学習に取りくむ子どもを育てる―個に応じた指導の工夫を通して―」(桜田小学校)、「個別化・個性化の指導に関する研究―児童理解に基づく一斉指導における個別化の工夫―」(桜川小学校)などである。
 豊かな心の育成をテーマに掲げたのは、「豊かな心と言葉を育てる指導法の工夫―音読、朗読を通して言語感覚を磨く指導法の工夫―」(御田小学校)などである。
 国際理解教育をテーマとしたのは、「みとめ合い、協調できる子ども―国際理解教育を通して―」(鞆絵(ともえ)小学校)、「多様性に気づき認め合う交流学習(国際理解教育)」(東町小学校)などであった。
 また、「子供達の人間関係を広げる 深める―縦割り活動を通して―」(桜小学校)などが人間関係の構築や協調性の育成を主題とし、「児童一人一人の学習意欲を高める指導の工夫―特に学習過程を重視した指導を通して―」(神明小学校)などが学習意欲の向上を、「表現力を高める言語活動―劇遊びと文学的教材の読みを通して―」(氷川小学校)などが表現力の育成を主題として研究を実施した。
 
■平成10年(中期)の校内研究
 平成10年(1998)告示の学習指導要領は、「ゆとり」を重視し、「総合的な学習の時間」を創設、方針の一つに、「基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、個性を生かす教育の充実」を掲げた。これを受け、平成15年度の校内研究では、「自ら進んで課題に取り組む子の育成―算数科における基礎・基本の充実―」(高輪台小学校)、「確かな学力を身に付ける児童の育成―一人一人を生かす指導を求めて―」(麻布小学校)、「学力を高める教育活動の工夫―ドリルタイム・生活科、総合的な学習の時間を通して―」(南山小学校)など、学力向上、基礎・基本の習熟をテーマとする学校が、全20校中6校と多数を占めた。
 その他、「人とのかかわりの中で、自ら進んで学習に取り組む子どもを育てる―読む力を育てるための国語科指導の工夫―」(東町小学校)など、学力の基礎である「読む力」の育成を研究主題とした学校も3校あった。
 
■平成29年(後期)の校内研究
 平成29年(2017)改訂の学習指導要領は、新たに「主体的・対話的で深い学び」を求めた。
 これを受け、翌平成30年度には、「主体的に考え、学び合い、深い学びを実現する算数の授業づくり」(御成門小学校)、「すすんで考え、学び合い、思考を深める児童の育成~国語科の話す・聞く活動を中心として~」(芝小学校)、「一人一人の主体的な学びが生まれる授業の追究~論理的思考を楽しみ、生き生きと学び合う子~」(赤坂小学校)など、主体性や自主性を校内研究の主題とする学校が多く、全18校中7校に及んだ。
 
関連資料:【学校教育関連施設】