平成30年度(2018年度)「港区保健福祉基礎調査」のアンケート結果によると、小学4~6年生を対象とした「学校は楽しいですか」の質問に対し、「とても楽しい」「まあ楽しい」と答えた割合の合計は、平成22年度では90・3パーセント、平成25年度は90・6パーセント、平成28年度は94パーセントと、微増傾向にあることがわかった。
一方、同調査にある「学校に行きたくないと感じることはありますか」という質問に対して、「よくある」「たまにある」の合計は、平成22年度が41・5パーセント、平成25年度は38・8パーセント、平成28年度は29・8パーセントとなっており、学校に否定的な気持ちを持つ児童は微減しているといえる。
学校の授業について港区の小学生たちがどう感じているかを見てみると、平成25年実施の「港区における子どもと子育て家庭の生活と意識に関する調査」(平成26年2月)によれば、「好きな教科がある」と答えた児童は89・2パーセントに上っている。また、「授業はよくわかる」と答えた児童は58・0パーセントとなっている。
■家庭・地域での生活
●学習時間
自宅や塾などでの勉強時間を調査したところ、公立小学校の子どもでは「1時間くらい(31・3パーセント)」が最も多く、次いで「30分くらい(20・1パーセント)」、「2時間くらい(18・6パーセント)」が続く。ただし、私立小学校に通学している児童では「1時間くらい(30・5パーセント)」や「2時間くらい(29・5パーセント)」、また「3時間くらい(17・9パーセント)」となっており、公立小学校と私立小学校にはやや差が見られる(※7)。
●読書時間
小学生から高校生を対象に、1日当たりの読書時間について調査している。この結果を見ると、読書をする小学生の平均時間は「30分ぐらい」が29・4パーセントと最も多い。一方で「10分」という児童も26・5パーセント、「読まない」と回答した児童も26・5パーセントとなっている。また、「読まない」と答えた高校生は44・7パーセントに上り、小・中学生に比べ、高校生は読書をしなくなっていることがわかる(※8)。
[図49] 平成29年度 1日の子どもの読書時間
出典:『港区子ども読書活動推進計画』平成30年度~令和2年度
*学校での読書を含む
●テレビ視聴時間
テレビ単独での視聴時間は明らかではないが、テレビおよびゲームを見る(する)時間については、小学4年生で「1時間くらい」が31・9パーセントと最も割合が高く、次いで「2時間くらい」が29・0パーセント、「あまり見ない(しない)」が15・3パーセントであった。
視聴について時間制限を設けている家庭も多く、小学生のいる世帯では66・3パーセントが「制限している」と回答しており、「特に制限はしていない」の24・1パーセントを上回っている(※9)。
●睡眠時間
「港区における子どもと子育て家庭の生活と意識に関する調査」本編によると、小学4年生の就寝時間は「(午後)10時ごろ」が47・3パーセントで最も多かった。次いで多いのは「(午後)9時ごろ」の42・0パーセントであるが、「(午後)11時ごろ」に就寝すると答えた児童も7・7パーセントいる。
睡眠の実感については67・8パーセントが「よくねむっている」と答えているが、「たまに寝不足になる」児童も27・9パーセントおり、「寝不足が多い」と答えた児童も2・9パーセントとなっている。
●塾、習い事
小学1~3年生では塾に通っている割合よりも通っていない割合の方が高く、40・5パーセントが「通っていない」と回答している。しかし、小学4~6年生になると「通っていない」が最も高い25・5パーセントではあるが、「週に4回より多い」という回答が23・3パーセントと増加している。中学進学を控え、高学年になると塾へ行く回数も増えていることがわかる。保護者の教育への関心の高さも関わっているものと思われる。
■学習や体験の広がり
●学童保育「学童クラブ」
区では、就労などにより昼間に保護者が家庭にいない児童に対し、健全な育成を図ることを目的として、適切な遊びや生活の場を提供している。これが「学童クラブ」である。子ども同士だけでなく、施設を利用する児童や職員、大人とも幅広い交流ができ、実施されるさまざまな活動にも参加できる。学童クラブには指導員がおり、指導計画に基づいた指導も行っている。学童クラブは、児童館、子ども中高生プラザ、児童高齢者交流プラザ、さらに区立小学校内で実施する「放課GO→クラブ」(放課後児童健全育成事業)に設けられている。
学童クラブは平成4年(1992)に運営要綱が定められた。当初は、小学1~6年生が入会できた。やがて、共働き家庭の増加とともに学童クラブを拡大してほしいという要望も聞かれるようになり、平成11年3月の「港区エンゼルプラン」では、学童クラブの開館時間延長、分室の設置を含めた運営施設の適正配置などを目指すことが記された。その後、学童クラブの数は増え、「放課GO→クラブ」が小学校へ設置されるようになった。
平成31年4月時点で、学童クラブの利用者は全36施設で2753人である。区では総定員を77人増員し、3249人まで受け入れることを決めた(平成31年4月25日港区区長記者発表)。
学童クラブは、保護者の就労や疾病状況などにより基準指数を設定し、指数の高い順に入会することができる。小学校1年生から4年生まで学年の低い順に指数が高く設定されている。また、平成10年からは、生活保護を受ける世帯へのおやつ代・お楽しみ会費の助成が上限つきで行われるようになった。
●「放課GO→」
「放課GO→」(放課後児童育成事業)は、小学校の授業終了後、校内の一部を利用し、子どもが自由に過ごす居場所を提供するものである。実施校に在籍する小学生および実施校の通学区域内に居住する小学生が登録して利用できる。平成16年(2004)9月、青山小学校に地域の人や退職教員を派遣して、予習・復習やスポーツなどの体験活動を実施したことからスタートした。平成17年に3校、平成18年に3校と増加し、平成30年には17校に設置されている。
「放課GO→」の中に学童クラブ(放課GO→クラブ)が含まれる場合は、放課GO→に登録し、学習やスポーツ、遊びなどの活動をする児童と、学童クラブに登録し、学習やスポーツ、遊びなどの活動の他、おやつを食べて過ごす児童が混在する(放課GO→にはおやつはない)。
●地域のスポーツ、文化、芸術などの活動への参加
調査によると、子どもが小学生の世帯での学習以外の習い事は、「スポーツ(水泳など)」が63・9パーセントと最も高い。その他に文化的な活動、「音楽(ピアノなど)」36・5パーセント、「ダンス(バレエなど)」17・9パーセントと続いている。一方で、習い事をさせていないという家庭も12・5パーセントとなっている(いずれも複数回答)。港区保健福祉基礎調査の記載を見ると、小学生は塾よりも習い事に費やす時間が多いようである。
●学校の選択状況
平成19年度(2007年度)から30年度まで、指定校への入学を希望した家庭の割合を見てみると、小学校については63~76パーセントと高い数値を示し、令和元年度(2019年度)では74・1パーセントとなっている(※10)。
一方、中学校進学については、事前のアンケート調査によると、区立小学校の児童を持つ家庭のうち、指定された通学区域の区立中学校への進学を希望している割合は40~50パーセント程度であった。
また、実際に指定校に進学した者は区立中学校進学者全体のおおむね60パーセント前後で推移している[図50]。東京都全域が約90パーセント(※11)であるのと比較すると、港区は30ポイントほど低く、港区の区立中学校進学者は、指定外の学校への進学率が明らかに高いことがわかる。なお、東京23区のうち、中学校の自由選択制を実施している14区全体での割合は、平成30年度で81・6パーセントとなっている(※12)。
[図50] 港区立中学校(指定校)進学者割合の推移
出典:『公立学校統計調査報告書・公立学校卒業者の進路状況調査編』各年度版より作成
*参考として東京都全域の指定校進学者割合を加えた
関連資料:【文書】幼児教育 港区における子どもと子育て家庭の生活と意識に関する調査報告書
関連資料:【図表および統計資料】生涯学習 放課GO→・放課GO→クラブの参加者数