安全・防災教育の充実

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■避難訓練、集団下校訓練
 学校の安全管理は「学校保健安全法」「学校教育法」「消防法」などによって位置づけられている。東京都教育委員会でも、都内公立幼稚園、小・中学校、特別支援学校での避難訓練を、教育課程に位置づけて年に11回以上行うことになっており、ここに保護者への引き渡し訓練や集団下校訓練も含まれている。
 学校は、安全であるべき場所であるが、平成13年(2001)、大阪教育大学附属池田小学校では、校外からの侵入者による殺傷事件が起こっている。また、自然災害としては、平成28年の熊本地震、平成30年7月の西日本を中心にした豪雨などが甚大な被害をもたらした。特に、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、東北から関東にかけて学校の被害も大きかった。これ以降、今まで学校単位が中心だった避難訓練について、地域やPTAとの連携が強化されるようになった。不審者の学校侵入などの犯罪事件に対しても、学校単体だけより地域全体で見守り体制を取る方が効果的であるとされた。
 防災について港区が行ってきた取り組みは、地域安全マップの作成、不審者進入対策訓練(避難訓練の中に位置づけ)、児童・生徒への防犯ブザーの貸与、幼稚園、小学校、中学校への防犯カメラ設置、非常通報体制「学校110番」の運用、保護者への緊急情報メール配信、区立小学校への警備員の常駐など多岐にわたる。こうした取り組みによって、児童・生徒の意識向上と、地域や警察などの関係機関との連携強化を図っている。
 
■防犯意識、危険を総合的に伝える セーフティ教室
 児童・生徒の防犯意識、ネットリテラシーの向上などを目的に、年に1回、開催されているのが「セーフティ教室」である。都教育委員会により、平成16年度(2004年度)から都内すべての公立小・中学校、都立学校約2200校での実施を目指して開催され、平成16年度では小・中学校合わせて65・6パーセント、平成17年度は93・1パーセントと、予想を上回る実施状況である。
 「セーフティ教室」の特徴は、保護者や地域住民も参加すること、また、授業と意見交換会の2部構成になっていることである。平成17年度の開催内容例を見ると、1部の授業では、警視庁職員などの講師による児童・生徒がさらされる危険とその防止法を取り上げ、2部の意見交換会では、保護者、地域住民、教員、関係機関担当者らが参加している。学校関係者のみならず、地域全体で話し合うことで、児童・生徒の安全を守るために総合的な見守り体制が必要であることを参加者が理解するきっかけとなっている。
 
■薬物乱用防止教室
 薬物問題の防止には、できるだけ早期の教育が必要である。港区では平成21年度(2009年度)より薬物乱用防止対策に取り組み、区立小・中学校に講師を招いて「薬物乱用防止教室」を開催している。この教室は、前述した「セーフティ教室」に組み入れられるケースも多い。当初、この教室の開催は中学校のみであったが、平成27年度から小・中学校ともに開催されている。