キャリア教育

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 平成29年(2017)告示の学習指導要領は第1章第4に「キャリア教育の充実を図ること」と記し、初めてキャリア教育に言及した。それに先立ち、平成20年の中央教育審議会答申は、学習指導要領にキャリア教育を盛り込むことを求めていた。
 港区教育委員会は、中央教育審議会答申や学習指導要領改訂を先取りし、平成19年度の教育目標基本方針2「魅力ある学校教育の推進」の(6)に「子どもたちが将来に夢や希望をもって生きることができるよう、職場体験等を通して望ましい勤労観・職業観を育み、主体的に自らの進路を判断し選択できるキャリア教育の充実を図ります」と定め、キャリア教育を推進してきた。また、平成24年度には、それまで「進路指導主任会」という呼称で実施していた研修会の部会を「進路指導主任会(キャリア教育担当者会)」と名称変更し、進路指導をキャリア教育と位置づけた。
 各中学校では、区研究協力校、区研究奨励校等の指定を受け、キャリア教育に関する研究も盛んに実施された。
 
■校内研究主題
 平成20年度(2008年度)には、青山中学校が区研究奨励校として校内研究主題「一人ひとりの個性を伸ばし合い、創造性に富む生徒の育成―キャリア教育を生かして―」に取り組み、三田中学校も「キャリア教育の視点を活かした授業力向上~キャリア発達を促す学習指導の工夫~」を校内研究主題として、キャリア教育を開始した。平成24年度からは港南中学校も校内研究主題を「人と社会と関わる力を育む港南キャリア教育」として、キャリア教育の研究に加わった。
 
■職場訪問など
 キャリア教育に先進的に取り組んだ各校の実践の成果もあり、現在では毎年、全区立中学校でキャリア教育の機会が設けられている。第1学年では職業調べや職場訪問、第2学年では職場体験、第3学年ではキャリア教育の一環として志望校訪問と体験入学を実施している。職場訪問や職場体験では、地域の商店や飲食店などの企業、医療や福祉機関の事業所、公共機関などの協力により、生徒は希望する職種を選択して仕事を体験できる。具体的には生徒の状況や地域の実態に応じ、学校の独自性に任せているケースが多い。
 職場体験の前には、事業所調査や自己紹介カードと質問票の作成などの事前学習と事前訪問を実施し、体験後にはお礼状を送り、報告書を作成する他、発表会も行っている。
 キャリア教育の取り組みに特に力を入れている三田中学校では、事前学習に模擬就職試験を取り入れている。生徒は、教室や廊下に張り出された疑似求人票の中から希望する事業所を選択し、履歴書の代わりとなる自己PRカードを作成する。カードには事業所を選んだ理由や、希望する仕事、自分の長所、中学校生活で身につけたことなどを記入する。そして、それをもとに複数の教員による面接試験を受ける。
 三田中学校の職場体験で協力を得ている主な事業所は次の通り。
 スーパーミナトヤ(食料品店)/ファミリーマート/ハナモペッツ(小動物店)/ピーコックストア(食品スーパー)/常教寺/プチレダ(ぬいぐるみ製作)/ハリウッドビューティ専門学校(現・ハリウッド美容専門学校)/佐川急便/ヤマダ電機/マクドナルド/ブラン・ノワール(喫茶店)/ドリームファクトリー(イタリアンレストラン)