防災教育 東日本大震災の前と後

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 平成20年(2008)の学習指導要領の改訂は、防災教育を教育課程に位置づけた。しかし、各学校の取り組みは、従来通り避難訓練と消火訓練が中心であり、消防署の協力を得た消火訓練や、起震車を利用した地震の疑似体験、避難経路の確認、避難時の心構えの学習にとどまっていた。毎年9月1日の防災の日には、地域別に班を編成し、上級生をリーダーとする下校訓練を実施していた。
 しかし、東日本大震災後になると、防災教育は、大災害を想定したより具体的で多様な内容に変化した。生徒は、津波対策や非常事態時の行動についても学んでいる。各学校は、地域性を反映した学校独自の防災マニュアルの作成、見直し・改善を進め、学校が近隣の避難場所になることを想定し、生徒には、防災組織の活動に協力するなど、率先して地域の防災活動に参加するよう指導している。
 港南中学校やお台場学園港陽中学校は、防災教育に特に力を注いできた。港南中学校では、港区や港南防災ネットワークなどの関係機関との共催で防災訓練を実施し、生徒は港南防災ネットワークの人たちからさまざまなことを学んでいる。こうした取り組みは高く評価され、平成31年3月に、総務省消防庁主催の「第23回防災まちづくり大賞」で「日本防火・防災協会長賞」を受賞した。また、港陽中学校は平成20年度から「防災Jr.ティーム」を組織し、「自分たちが住む街は自分たちが守る」をスローガンに、全生徒参加の訓練を続けてきた。生徒らは、港区総合防災訓練に参加したり、地域の防災活動にボランティアとして参加するなど、防災を通して社会参加の機会を得ている。
 震災後の主な訓練内容は次の通り。学校や地域の実態に応じて各校独自に実施している。
 初期消火訓練/避難所受付訓練/簡易担架搬送訓練/情報処理・掲出訓練/応急救護訓練(AED)/応急救護訓練(三角巾)/マンホールトイレ設置訓練/会場全体案内/配給訓練/炊き出し訓練/応急給水訓練/防災復旧訓練/放送訓練/バーナー取り扱い訓練
 
関連資料:【学校教育関連施設】