■『わたしたちの郷土港区』
社会科の郷土学習、ことに第2学年「日本の地理」の最初の単元「身近な地域」の学習教材として、港区教育委員会が昭和58年(1983)に初版を発行した。執筆・編集には区立中学校社会科教員の協力を得、毎年、内容確認、見直しを行う他、おおむね10年ごとに大きな改訂を行っている。
平成28年(2016)版を見ると、同書は全4章の構成で、港区の地理、歴史、政治・経済について、その特色を詳細に解説している。例えば、第2章「港区のようすを知ろう」では、区内には各国の大使館が集中し、外国人居住者の比率が高く国際化が進んでいること、民放キー局のすべてが区内に本拠を構えるなど、国内屈指の情報発信地であること、赤坂、青山、六本木など、流行の最先端を行く街が集中すること、一方で、印刷業など都市型工業が発展してきたことなど、区の特色を紹介し、第3章「港区のあゆみ」では、旧石器時代から人が住み続けていたこと、11世紀に書かれた『更級日記』に現在の港区付近の情景が描かれるなど、古くから栄えた町があったこと、江戸時代には大名屋敷や旗本屋敷が集中し、江戸の中核を形成していたことなどを記している。
■『小諸の生活』
第1学年で実施する移動教室のための副読本として、昭和42年(1967)から平成15年(2003)まで発行・活用していた。平成15年、移動教室の実施施設だった港区立の小諸高原学園は老朽化のため閉鎖され、それに伴い発行を終了した。