■英語科国際
港区は、区内に大使館や外資系企業のオフィスが多く、住民の約1割が外国人居住者であるという地域特性から、国際理解教育を推進してきた。一方、区内に立地する私立中学校は12校(平成31年4月現在)あり、その数は区立中学校の10校より多い。私立中学校には英語教育に力を入れる学校が多く、それもまた、公立離れが進む一因と指摘されてきた。
そうした状況に対処するため、港区は教育特区(構造改革特区制度)を活用して英語教育に注力する方針を掲げ、平成18年度(2006年度)から「英語科国際」の授業を新設。当時の学習指導要領が規定していた英語科週3時間に加え、週1時間の実施を開始した。
英語科国際は、学習内容を英会話教育に特化し、英語を母国語とするNT(ネイティブ・ティーチャー)の講師を配置して、英語科教員とのティーム・ティーチングを行っている。
現行の学習指導要領では、英語科は各学年週4時間に増加したため、港区の中学校では全学年が週5時間、英語を学んでいる。
●英語科国際ネイティブ・コース
六本木中学校は平成29年度(2017年度)から英語科国際の授業をスタンダード・コースとネイティブ・コースに分割し、英語力に秀でた生徒が受講するネイティブ・コースでは教員が基本的に英語で授業を実施している。それまで英語科国際は、NT1人・区費講師1人で指導に当たっていたが、これにより、NT2人・区費講師2人による少人数指導体制となった。
ネイティブ・コースの対象は、英語を母語とする生徒や海外生活などの経験を持つ英語力に長けた生徒である。希望する生徒の語学力をNTによる面接などで確認した上で、コース別の授業を行っている。
六本木中学校の通学区域は、国際学級(英語を母語とする児童が対象)を設置している東町小学校、南山小学校の通学区域と重なっている。両校の卒業生(国際学級修了者)の多くが六本木中学校に進学することから、英語力の高い生徒の受け皿としてネイティブ・コースの導入を進めることになった。
小学校の国際学級に関しては第2節第1項(2)115ページを参照。
■海外派遣
平成19年度(2007年度)から、各中学校の代表者(平成30年度実績・代表40人)をオーストラリアの西オーストラリア州パース市に派遣。ホームステイしながら現地校に体験入学し、オーストラリアの自然や文化、歴史を学んでいる。
■国内留学
第2節第1項(2)121ページ参照。
関連資料:【図表および統計資料】学校教育 国際学級外国人児童数
関連資料:【学校教育関連施設】