13歳(中学1年生および2年生)の生徒の体位の推移を[図15]に示した。全国平均と比較すると、平成27年度(2015年度)の調査では男子の体重が全国平均を下回っているが、全体としてはおおむね男女とも身長・体重の全国平均を上回っている。
[図15] 13歳生徒(中学1年生および2年生)の体位の推移
出典:『港区の教育』各年度版より作成
■疾病・異常の被患率
14歳生徒の裸眼視力、う歯(虫歯)の状況を[図16]に示した。裸眼視力1・0未満の生徒の割合は、平成期を通して上昇しており、平成元年度(1989年度)の全国平均46・3パーセントから59・7パーセント(平成30年度)に増えた。港区の状況はさらに深刻で、51・2パーセント(平成元年度)から68・0パーセント(平成30年度)に上昇している。
日本経済新聞(平成28年1月22日付)によると、専門家は視力低下の一因を「スマートフォンや携帯ゲーム機などの長時間利用」と指摘している。
一方、う歯(虫歯)の状況を見ると、平成期を通して著しく改善していることがわかる。全国平均で平成元年度には90パーセントを超えていた被患率が平成30年度には40パーセントを下回った。港区の状況はさらに良好で、被患率は平成元年度の88・4パーセントから平成20年度には42・7パーセントにまで減少した。平成30年度にかけては横ばいではあるものの、依然減少傾向にある。
背景には保護者の意識と行動の変化があると推測され、ヘルスケア製品・医療機器メーカーのフィリップスが公表した平成28年の調査結果では、子どもの45・4パーセントが定期的に歯科医の診療を受診し、その半数以上が治療ではなく、定期健診や虫歯予防のフッ素塗布であった。港区の定期健康診断は区立中学校の生徒のみを対象としているが、私立学校に通う生徒も含めると、14歳生徒のう歯被患者の割合はさらに低くなることが推察される。
[図16] 14歳生徒の裸眼視力とう歯の状況
※港区教育委員会事務局作成
*平成30年度の全国は、裸眼+矯正の数値
*全国は、文部科学省「学校保健統計調査」の割合調査数値
*港区は、港区14歳人数から『港区の教育』各年度版の定期健康診断結果(14歳、裸眼視力1.0未満・歯の検査)人数を算出した割合
■体力・運動能力、運動習慣の推移
文部科学省は、昭和60年(1985)ごろから子どもの体力・運動能力の低下および肥満など生活習慣病が増加しているとする中央教育審議会の答申を受け、平成15年度(2003年度)から子どもの体力向上推進事業を実施した。
同省は、現在の子どもは親世代の約30年前と比べ、体格が向上しているにもかかわらず、体力・運動能力などの身体能力の低下が深刻な状況であることを「体力・運動能力調査」で取り上げている。「子どもの発達段階に応じた体力向上プログラム」の中では、
「子どもの体力の低下は、将来的に国民全体の体力の低下につながり、生活習慣病の増加やストレスに対する抵抗力の低下など健康に不安を抱える人々が増え、ひいては社会全体の活力が失われる事態が危惧されています」
として、児童・生徒の世代における体力の向上の重要性を訴えている。
港区では、昭和59年度から小学生の健康づくりのために「港区健康づくり努力表彰」を要綱に定め、他の模範となる児童を表彰している。中学生については部活動などを通しての体力づくり推進を図っている。
関連資料:【図表および統計資料】学校教育 身長
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