このデータによれば、区在住の中学生の大半は、学校に行くのが「とても楽しい」「まあ楽しい」と感じていることがわかる。学校への肯定的な評価は平成中期から後期に移行するにつれて上昇傾向にあり、「とても楽しい」と「まあ楽しい」を合計した回答の割合は、平成13年の86・6パーセントから平成28年には94・7パーセントにまで増加している。
なお、この調査は港区在住者から不作為抽出した中学生を対象としており、私立や国立などの中学校に在籍する生徒も含まれている。平成期、港区在住の中学生の過半数は区立以外の中学校に在籍しているため、次の調査結果と単純比較することはできない。
[図17]港区在住中学生の意識調査「学校に行くのは楽しいですか」
出典:『港区保健福祉基礎調査報告書』平成20年、29年より作成
[図18]は、昭和期から平成18年まで不定期に実施されていた港区子ども生活実態調査のデータをもとにした同様の推移である。
[図18]港区立中学生の意識調査「学校に行くのは楽しいですか」
出典:『港区子ども生活実態調査報告書』平成18年より作成
港区子ども生活実態調査は、区立中学校に在籍する中学生を対象としたものであり、他の調査にはない「どちらともいえない」が選択肢に含まれている。このため、単純には比較できないが、「あまり楽しくない」「まったく(ぜんぜん)楽しくない」の回答の割合がその他の調査と比して大きい。
また、参考のため、NHK放送文化研究所が定期的に実施している「NHK中学生・高校生の生活と意識調査」のデータをもとに、全国の中学生の意識の推移を[図19]に示した。
[図19]全国中学生の意識調査「学校に行くのは楽しいですか」
出典:NHK放送文化研究所『NHK中学生・高校生の生活と意識調査2012』NHK出版(2013年)より作成
時代背景から見ると、平成18年は小学生のいじめ認知件数が過去最多、また教育基本法が改正され、それに伴い、学校教育法の一部改正があった。内容は、ゆとり教育の見直しであり、学科数の増加などがある。
港区保健福祉基礎調査では、「学校や友達のことで悩んだり、困ったりすることはありますか」との問いを設定し、区在住の中学生の実態を調査している[図20]。
[図20] 港区在住中学生の実態調査 「学校や友達のことで悩んだり、困ったりすることはありますか」
出典:『港区保健福祉基礎調査報告書』平成29年
平成22年から平成28年の推移を見ると、学校や友達のことで悩んだり困ったりしている中学生の割合は減少傾向にあることがわかる。これは、学校への肯定的評価が上昇傾向にあることと合致している。
先の調査で「悩んだり、困ったり」することが「よくある」「たまにある」と回答した生徒だけに聞いた「どういったことで悩んだり、困ったりしますか」の回答の推移[図21]を見ると、勉強や進路・進学についての悩みが増加傾向にあるのに対し、「友達とのけんかについて」「いじめられたりすること」「顔や体形のこと」「性格やくせのこと」といった、いじめや人間関係、他者からの評価といった問題に関係する悩みは、わずかではあるが減少傾向にある。
[図21] 港区在住中学生の実態調査「どういったことで悩んだり、困ったりしますか」
※図20の調査で「よくある」「たまにある」と答えた人
出典:『港区保健福祉基礎調査報告書』平成29年
関連資料:【文書】小学校教育 港区子ども生活実態調査報告書