問題行動の状況と解消への取り組み

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 問題行動としては、暴力行為やいじめがある。以下、暴力行為に即して詳述していこう。
 昭和45~55年(1970~1980)にかけては、全国の中学校で暴力行為が見られ、「校内暴力」という単語を生んだ。平成30年度(2018年度)文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』を見ると、中学校における暴力行為発生件数は近年減少していることがわかる。
 暴力行為発生件数全体の推移[図32]と学校の管理下における発生件数の推移[図33]を比べると大きな違いは見られない。学校の管理下以外における発生件数の推移[図34]では全体に占める割合が少ないこともあるが、特に中学校の減少が著しいことがわかる。

[図32] 学校の管理下・管理下以外における暴力行為発生件数の推移
出典:文部科学省『平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』より作成

 

(注1)平成9年度からは公立小・中・高等学校を対象として、学校外の暴力行為についても調査
(注2)平成18年度からは国私立学校も調査
(注3)平成25年度からは高等学校に通信制課程を含める
(注4)小学校には義務教育学校前期課程、中学校には義務教育学校後期課程および中等教育学校前期課程、高等学校には中等教育学校後期課程を含める



[図33] 学校の管理下における暴力行為発生件数の推移
出典:文部科学省『平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』より作成

 

(注1)平成8年度までは、公立中・高等学校を対象として、「校内暴力」の状況について調査している
(注2)平成9年度からは調査方法などを改めている
(注3)平成9年度からは公立小学校、平成18年度からは国私立学校も調査
(注4)平成25年度からは高等学校に通信制課程を含める
(注5)小学校には義務教育学校前期課程、中学校には義務教育学校後期課程および中等教育学校前期課程、高等学校には中等教育学校後期課程を含める


 

[図34] 学校の管理下以外における暴力行為発生件数の推移
出典:文部科学省『平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』より作成

 

(注1)平成9年度からは公立小・中・高等学校を対象として、学校外の暴力行為についても調査
(注2)平成18年度からは国私立学校も調査
(注3)平成25年度からは高等学校に通信制課程を含める
(注4)小学校には義務教育学校前期課程、中学校には義務教育学校後期課程および中等教育学校前期課程、高等学校には中等教育学校後期課程を含める


 
 なお、平成9年度に調査の方法が大きく変わり、その後も平成18年度、25年度にも変更されているため、全体の推移を単純比較することはできない。また、平成8年度までは校内暴力のみの件数であり、学校の管理下以外における件数は文部科学省も把握していない。
 港区の区立中学校でも、昭和63年、平成11年などに、新聞報道の対象となる比較的大きな暴力事件が発生している。その一つについて読売新聞は、「発生直後の学校側の説明不足や事実認定の甘さから父母(ママ)の不信感が募り、区教委や警察を巻き込んだ騒動に発展した」(平成11年1月14日付)と報じている。ここに示されているような、暴力事件をきっかけとする保護者による公立学校不信は、港区だけでなく都市部全体における、私立中学校選好の一因となった。