安全・防災教育の充実

350 ~ 353 / 432ページ
 避難訓練、集団下校訓練、セーフティ教室などの活動は第2節第4項(2)257ページを参照。
 
■お台場学園防災Jr.ティーム
 平成20年(2008)、港陽中学校は、防災教育の一環として、「防災Jr.ティーム」を発足させた(学校の統合後は「お台場学園防災Jr.ティーム」)。「中学生の地域防災への貢献」を活動のテーマとし、「自分たちの街は自分たちで守る」を合言葉に、校内活動にとどまらず、地域住民に協力し、組織的な防災合同訓練にも参加している。
 平成25年、同ティームは内閣府の防災教育チャレンジプランに活動プランを応募した。プラン名は「私たちが守る地域 お台場」である。①東日本大震災の被災地に生徒・職員を派遣し、震災体験者から防災を学ぶ、②学んだことをもとに、自分たちに何ができるのかを考え、地域住民に提言する、③自主的に防災活動に取り組む生徒を育成する、などの内容が採択され、内閣府の支援を受けて実施した。
 
■3校地域合同防災訓練
 平成24年(2012)、朝日中学校通学区域内の三光小学校、神応(しんのう)小学校、朝日中学校(いずれも当時)の3校の児童・生徒、教職員、保護者と町内会、消防署、消防団などが参加・協力し、地域ぐるみの防災訓練を実施した。参加者は児童・生徒319人を含め、総勢約600人の大規模な訓練だった。
 この合同防災訓練の成功は「防災訓練は学校と地域が一体に」との考えに先鞭(せんべん)をつけたもので、これ以降、区は「幼・小・中すべての教育課程に〝防災訓練は地域とともに行う〟」こととした。これは全国でも珍しい先進的な事例である。
 平成27年、3校は統合されて現在は白金の丘学園白金の丘小・中学校となっているが、白金地区防災協議会、高輪消防団、高輪地区総合支所などの協力により、合同防災訓練は受け継がれている。
 
■薬物乱用防止教室
 わが国の覚醒剤事犯検挙者数は昭和50年(1975)ごろから急増し、昭和60年前後にピークを迎えた。その後漸減していたが、平成7年(1995)ごろから再び増加し始め、「第3次乱用期」を迎えた。特に、中・高校生の検挙者が激増し、中・高校生のファッション感覚による乱用の急増が指摘された。
 こうした状況を受け、文部省(当時)は平成10年改訂の学習指導要領では、小学校の体育科でも薬物乱用防止に関する指導を行うことを明記し、中学校、高等学校でも指導内容の充実を求めた。さらに、平成16年度より、すべての中学校、高等学校で年1回の薬物乱用防止教室を開催するよう指導を開始した。
 港区では、平成21年度から中学生を重点対象とした薬物乱用防止対策事業(薬物乱用防止キャンペーン)を開始し、各中学校で外部講師を招いての薬物乱用防止教室も開催している。その他の事業には、薬物乱用防止ポスター・標語コンクール入賞者の表彰、講演会、街頭キャンペーン、コミュニティバス「ちぃばす」を利用した啓発活動などがある。
 
■救急救命講習
 平成16年(2004)からは、AED(自動体外式除細動器)の使用が非医療従事者にも認められるようになり、順次、区立小・中学校に設置されるようになった。また、平成20年に改訂された中学校の学習指導要領および平成21年に改訂された高等学校の学習指導要領では、心肺停止状態におけるAEDの必要性にかかる記載が盛り込まれている。
 しかし、実際に校内で重大な事故が起きた際にAEDが使われず、児童・生徒が死亡するケースが発生したため、平成26年、文部科学省と消防庁が連携し、AEDの使用啓発のためのキャンペーンを展開した。これを受けて、港区の各中学校でもAED使用講習会を開催している。
 区立中学校では、PTA主催の「救急救命講習会」を開催している。内容は日本赤十字社が行う「普通救命講習」と同じもので、主に「心肺蘇生」「AEDによる除細動」「気道異物除去」についての知識、技術を習得できるものである。また、修了者には、「救命技能認定書」が交付されている。