港区の区立中学校卒業生の進路状況について、昭和63年度(1988年度)から令和元年度(2019年度)のデータを[図35]に示した。平成期を通して、高校への進学率は全日制では95パーセント前後、定時制・通信制を含めると98パーセント以上の高率を維持している。都内の国公立への進学は42パーセント前後、都内私立は48パーセント前後で推移しており、進路状況にも大きな変化は見られない。
[図35] 港区立中学校卒業者の進学先
出典:東京都『公立学校統計調査報告書・公立学校卒業者の進路状況調査編』各年度版より作成
第3節第1項(1)265ページに記述の通り、平成期を通して港区の区立小学校卒業生のほぼ半数が私立中学校に進学していることなどを勘案すると、区在住の中学校卒業者の4分の3は私立高校に進学していることが推察され、高い私立志向を示しているといえる。
授業料について見てみると、平成22年、国公立高校の授業料が実質無償化された。私立高校等も、扶養者の所得に応じ、国公立高校授業料の2倍を上限として就学支援金を支給する制度により授業料負担は軽減された。
さらに、平成29年度には、東京都が私立高校授業料の実質無償化を開始した。前述の国の就学支援金に、都が新たに創設した、世帯年収760万円未満の世帯を対象とした授業料軽減助成金を加えることで実現したのである。
この、私立高校授業料無償化の恩恵を受ける平成28年度の区立中学校卒業生の進学状況を見ると、都内国公立全日制37・1パーセント、都内私立全日制48・0パーセントで、私立高校への進学率は前年度(52・7パーセント)より減少している。また、平成後期の21年度から30年度までの都内私立全日制高校進学率は47~53パーセントで推移しており、大きな変化は見られない。このことから、区立中学校卒業者に関しては、進路選択の上で私立高校無償化の影響はほとんどなかったといえる。
関連資料:【図表および統計資料】学校教育 区立中学校卒業生進路状況