特別支援教育のための制度づくり

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 この報告を受けて、中央教育審議会に特別支援教育特別委員会が設置され、平成17年(2005)12月に「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」がまとめられた。この答申の中では、平成11年に基本的な方針として出されていた「個別の指導計画」を、学習指導要領に位置づけることが提言された。この答申をもとに、平成18年6月には学校教育法等の一部を改正する法律が成立し、翌年4月から施行された。その主な内容は、①盲・聾・養護学校を特別支援学校に一本化すること、②特別支援学校は、在籍児童らの教育の他、小・中学校に在籍する障害のある児童・生徒らの教育について助言・援助をすること、③小・中学校においては、LD、ADHDなどを含む障害のある児童・生徒に対して適切な教育を行うこと、④現在の盲・聾・養護学校ごとの教員免許状を特別支援学校の教員免許状とすること、などである。こうして、従来の特殊教育の対象とならなかった発達障害のある児童・生徒に対しても、一人ひとりのニーズに合った教育を保障する特別支援教育の制度が整備されていった。
 以上のような国の動きを受けて、東京都では平成14年6月に東京都心身障害教育改善検討委員会が設置され、平成15年12月に「これからの東京都の特別支援教育の在り方について(最終報告)~一人一人のニーズに応じた教育の展開をめざして~」が発表された。この内容に基づき、平成16年11月には「東京都特別支援教育推進計画」が策定され、平成19年3月には「東京の特別支援教育(最終報告)」において、特別支援教育の基本的考え方および特別支援教育支援体制整備のためのガイドラインが発表された。これにより、各学校において、①特別支援教育に関する校内委員会の設置、②在籍する幼児・児童・生徒の実態把握、③特別支援教育コーディネーターの指名と公務分掌への位置づけ、④関係機関との連携を図った「個別の教育支援計画」の策定と活用、⑤「個別の指導計画」の作成、⑥教員の専門性の向上を推進していくこと、が求められた。