特別支援教育の展開(平成19年度以降)

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■港区における特別支援教育のあり方
 このような特別支援教育の推進に向けた施策の一つの集大成として、平成20年(2008)1月に港区特別支援教育推進委員会から「港区における特別支援教育のあり方」が発表された。併せて、平成20年度から22年度までの計画を示した「港区特別支援教育推進計画」が示された。
 「港区における特別支援教育のあり方」の中では、平成19年度における特別支援教育の実施の様子が、それぞれの特別支援学級・特別支援学校の状況、学校体制の整備状況、就学前児童の状況に分けて報告された。課題として挙げられたのが、①特別支援教育に関わる相談体制が、教育委員会事務局の就学相談担当、個別支援室、通級指導学級設置校の三つに分かれて複雑化している、②従来の就学指導委員会では就学期間における児童・生徒の状況をフィードバックして見直す役割が果たせていなかった、の2点だった。これらの課題解消のため、平成20年度に就学指導委員会に代わって「就学支援委員会」が立ち上げられ、相談窓口の一本化と就学相談およびそのフィードバックによる見直しの機能を担うこととなった。その際、個別支援室は廃止され、学習支援員派遣業務は教育委員会事務局指導室が担うこととなった。
 平成20年度から、東京都の公立小学校及び中学校通級指導学級等設置要綱に基づき、港区に特別支援教室の設置が行われた。その結果、平成28年度には全区立小学校に、平成30年度には全区立中学校に特別支援教室の設置が完了した。
 
■副籍制度
 平成16年度(2004年度)以降、東京都教育委員会は副籍制度の導入に向けて、八王子市とあきる野市で、さらに平成17年度から18年度まではこれに北区と調布市を加え、副籍モデル事業を行っていた。
 そして、平成19年3月、都教育委員会は区市町村における副籍事業の導入に向けた指針となる「副籍ガイドライン」を作成・配布した。同年、港区はこれを受ける形で副籍制度を実施した。
 副籍制度とは、都立の特別支援学校に在籍する児童・生徒が、居住する地域の小・中学校(地域指定校)に副次的な籍を持ち、学校だより・学級だよりの交換や地域行事などを通じて、居住する地域とのつながりの維持・継続を図るものである。
 副籍制度における地域の小・中学校との交流は「直接交流」と「間接交流」の2パターンがある。直接交流は児童・生徒が実際に地域の学校に出向き、授業などに参加して交流する形態であり、間接交流は、直接交流が難しい児童・生徒のために、学校で配布される「手紙」などを交換し合い、学校での出来事や様子を知らせる形態である。具体的な交流方法は、保護者の希望をもとに、児童・生徒が籍を置く特別支援学校の担当教員と交流相手校の特別支援教育コーディネーターとの個別相談によって決められた。
 
関連資料:【文書】教育行政 港区特別支援教育推進計画
関連資料:【文書】教育行政 港区における特別支援教育のあり方
関連資料:【文書】特別支援教育 港区における障害児支援のあり方検討会報告書(第1次)
関連資料:【図表および統計資料】学校教育 副籍制度を活用し、交流活動を実施した児童・生徒数