知的障害学級

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■設置校の経緯、学級別在籍児童・生徒数の推移
 区では、学校教育法第81条および学校教育法施行規則第140条の規定などに基づき、特別に編制された知的障害のある児童および生徒のための知的障害学級が設置されている。
 知的障害学級の名称は、平成5年度(1993年度)までは精神薄弱学級、平成6・7年度は知的遅れ学級、平成8年度からは知的発達障害学級へと変化していった。そして、学校教育法の改正により平成19年度には特別支援学級と名称が変更になった。
 小学校では、平成元年度時点では神明小学校(ひまわり学級)、本村小学校(わかたけ学級)、青山小学校(あすなろ学級)に設置され、3学級24人の児童が在籍していた。
 平成7年4月に神明小学校が御成門小学校と統合したことにより、ひまわり学級は赤羽小学校に移設された。さらに芝浦・港南地区の人口増加に対応するため、平成20年度、わかば学級が港南小学校に新設された。開級当時は1学級4人の在籍数だったが、開級3年目の平成22年度には15人に増え、区内で一番在籍数の多い学級になった。
 平成30年度時点では赤羽小学校(ひまわり学級)、港南小学校(わかば学級)、本村小学校(わかたけ学級)、青山小学校(あすなろ学級)の4校に設置されており、10学級72人が在籍している。昭和63年度(1988年度)から平成30年度までの児童数の推移を見ると、31年間で人数が3倍となっている。特に平成後期の約10年間における児童数の増加は著しい[図4]。

[図4] 小学校知的障害学級の児童数の推移
出典:『港区の教育』各年度版より作成
*各年度5月1日現在

 中学校における知的障害学級は、平成元年度時点で城南中学校(5組)に設置され、2学級に14人の生徒が在籍していた。
 平成10年4月に城南中学校と三河台中学校が統合したことを受け、新たに六本木中学校(3組)に設置されることになった。さらに平成18年度には、知的障害学級の生徒数の増加に伴い、青山中学校(3組)に2学級が新設された。平成23年度には港南小学校(わかば学級)の卒業生の受け入れ先として港南中学校(E組)に新設された。平成30年度時点では、港南中学校、六本木中学校、青山中学校に設置され、3校に5学級31人の生徒が在籍している。
 昭和63年度から平成30年度までの生徒数の推移は[図5]の通り。平成14~17年度は1桁であった生徒数が平成18~22年度は10人を超え、平成23年度以降は20人以上を維持している。平成の約30年で2・2倍になった。これらの背景としては、区の学齢児童・生徒数の増加や特別支援教育への理解が進んだことが考えられる。

[図5] 中学校知的障害学級の生徒数の推移
出典:『港区の教育』各年度版より作成
*各年度5月1日現在

 


■区費講師・言語指導員・介助員の活用
 区立小・中学校の知的障害学級には、区の予算で講師、言語指導員、介助員が配置されているのが大きな特徴である。配置に当たっては教育指導課ならびに学務課が窓口となっていたが、令和2年度(2020年度)の組織改編の際に、すべてが教育人事企画課特別支援教育担当となった。
 区費講師は都費講師に準じる雇用となっている。算定基準をもとに各校の児童・生徒数、児童・生徒の障害の状態によって教育人事企画課が週当たりの配当時間を決定している。より少人数のグループできめ細かな指導を行うために活用されている。
 言語指導員は主に言語面での指導を行うために、小・中学校の固定の特別支援学級に配置されており、原則として言語聴覚士の資格を有する者が配置されている。資格を有していなくても、言語・聴覚障害学級、特別支援学級での言語指導の経験がある者を、校長が言語聴覚士と同等の資格を持つものとして配置する場合もある。基準としては1学級当たり週1日1人が配置されるが、2学級であれば週2日、3学級であれば週3日と、学級数に応じた形が取られている。基本的には、各校とも自立活動の中で言語指導員を活用している。
 介助員は重度障害児受け入れのために配置されている。主な役割としては、児童・生徒の安全を守ること、各学級の方針に合わせた指導の補助である。配置については学級数や児童・生徒の実態に応じて教育人事企画課が決定している。
 
■知的障害学級への進学
 知的障害については就学時健康診断の知能検査によって主に判定するが、知的障害学級に知能テストの結果が境界線上にある児童・生徒が相当数在籍するようになった。また、「発達障害」という語句が『港区の教育』で使われるようになったのは平成17年度(2005年度)版からで、平成19年度版では次のように説明されている。
 
  近年になり、児童・生徒の障害の重度・重複化、知的障害の児童・生徒数の増加、また、通常の学級に在籍する学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症、アスペルガー症候群などの発達障害といわれる障害のある児童・生徒への支援の必要性が認められるようになりました。
 
 一方、知能指数は境界線上にあるが、障害の特性から通常の学級でのスタートが困難とされて知的障害学級に入学した児童が、小学校の6年間の中で通常の学級に転級する事例が平成23年度から出てきている。
 また、特別支援学校での教育が適切と考えられる児童が、保護者の強い希望で知的障害学級に入学する場合もある。主障害は知的障害であるが、それ以外の障害のある児童が在籍する事例も増えている。このことから、知的障害学級では在籍児童の障害の程度の差が大きくなり、種類も多様化している。
 さらに、港南小学校の肢体不自由学級(たけのこ学級)が平成23年度から休級になったことに伴い、保護者の強い希望によって肢体不自由のある児童が知的障害学級に在籍することが増えた。平成29年には、すべての学級に肢体不自由のある児童の在籍が見られた。肢体不自由学級についての詳細は382ページを参照。
 小学校の通常の学級を卒業して、中学校の知的障害学級へ進学する児童数は平成18年度以降、1人から5人程度である。ただし、進学する児童がいない年もある。平成22年度に4人が在籍したのち、変動はあるものの人数の多い年も見られる。
 小学校の知的障害学級を卒業後、中学校の自閉症・情緒障害学級である赤坂中学校C組に進学する児童もいる。
 
関連資料:【文書】特別支援教育 心身障害児・者に対する意識調査(平6)
関連資料:【文書】特別支援教育 心身障害児理解教育の推進(港南中学校 平5・6)
関連資料:【学校教育関連施設】