昭和60年(1985)に港区内にある4年制私立大学は5校、私立短期大学は4校であった。令和元年(2019)現在で、区内に本部を置く4年制私立大学は5校、私立短期大学は1校となっている。
平成以前から区内に設置されていた4年制大学の私立大学5校は、平成期には新しい学部の設置や大学院の研究科を新設するなど、拡大と改組を行っている。また、短期大学を4年制大学に改組した東海大学のような例もある。
短期大学への主な進学者であった女子の多くが4年制大学へと進学するようになり、平成8年(1996)には女子の4年制大学進学率が短期大学進学率を上回った。区内にあった私立短期大学のうち、1校(東海大学短期大学部)は4年制大学に転換し、2校(東洋英和女学院短期大学、山脇学園短期大学)は閉校したため、現在残っている私立短期大学は戸板女子短期大学の1校のみとなっている。なお、以下でいう定員とは、特に断りのない限り区内にキャンパスを持つ学部・学科に限った収容定員とし、必ずしも全学の定員を指していない。
4年制大学への進学率が上がる一方で私立短期大学に通う学生数が全国的に減少しており、平成前期に13パーセントあった短期大学進学率も平成29年には約5パーセントにまで落ち込んでいる。短期大学への進学希望者は平成5年時に過去最高となるが、その後減少し続けており、平成29年度学校基本調査(確定値)においても過去最低を更新している。その影響は区内の私立短期大学にも及んでおり、改組や閉校が行われた。
平成29年の学校教育法の改正により、実践的な職業教育を行う高等教育機関として専門職大学・専門職短期大学が制度化され、令和元年度から設置が開始された。専門職大学は実習や実技の授業を通じて就職後に必要となる高度な実践力を育成することを目的としている。専門職大学を卒業すると学士(専門職)、専門職短期大学を卒業すると短期大学士(専門職)の学位が授与される。
平成期においては、全国的に大学院大学が増加した他、主に社会人を対象として高度専門職業人の養成を行う専門職大学院も登場した。さらに通信課程のためのサテライトキャンパスを設ける地方大学が急増した。産業構造の変化によって高度専門人材やリカレント教育が求められるようになり、グローバル化や地方創生の動きに伴って高等教育の形が機能分化し、多様化したことを物語っている。