義務教育費国庫負担金の変更

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 義務教育費国庫負担制度とは、日本国憲法に示される教育の機会均等・水準確保・無償性を国が支える制度であり、義務教育費国庫負担金は、全国民が一定水準の教育を受ける機会を得られるように、公立の義務教育の教職員給与費を国が負担するものである。この制度は昭和15年(1940)に開始され、教職員の給与を都道府県で2分の1、国で2分の1を負担することとなった(市町村立学校職員給与負担法、義務教育費国庫負担法)。
 平成期に行われた義務教育費国庫負担制度の変更点は、大きく二つある。
 第一に、平成16年度(2004年度)の総額裁量制の導入である。それまで、国の基準で定められていた給与の種類や額、教職員数が、国庫負担金の配分金額の範囲内において都道府県の裁量で自由に決定できるようになった。これにより、自治体ごとに特色ある教育を展開しやすくなった。
 第二に、平成18年度に行われた義務教育費国庫負担金の国庫負担率の変更である。公立の義務教育諸学校の教職員給与費に関して国の負担を3分の1に減らしたことにより、地方負担が3分の2に増えることとなった。この変更は、国の補助金を整理して地方自治体の権限を拡大するという「三位一体の改革」の流れの中で行われた。