時期を同じくして、東京都教育委員会は、平成12年度(2000年度)より自己申告と業績評価からなる教員の人事考課制度を導入した。その目的は、「職員の業績、意欲、適性等について、客観的かつ継続的に把握し、これを職員の能力開発、任用・給与制度、配置管理等へ反映させることにより、職員一人一人の資質の向上と組織全体の生産性の向上を図ること」とされた(※2)。
自己申告制度とは、教員自身が、校長の定めた学校経営方針を踏まえて職務目標を申告するとともに、その目標に基づいて自己評価を行う仕組みである(※3)。教員は、組織方針を踏まえて自らの職務上の目標を設定し、その達成状況およびプロセスについて自ら評価するとともに、人事異動などに関する意向および意見を表明し、記録する。提出された自己申告書は、港区教育委員会教育長および都教育委員会教育長が人事異動等の基礎資料として使用する。
また、業績評価制度とは、職員の職務遂行上の能力や職務実績などを評価して公式に記録する仕組みである(※4)。この制度の下で、校長には、個々の職員の能力開発の内容や方法を副校長に作成させ、意見交換を行うなど、校内における人材育成が効果的に推進できるよう指導監督することが求められている。副校長には、日常的に個々の職員の能力適性を見極め、主幹教諭や主任教諭から各分掌に所属する個々の職員の人材情報を収集して、職員に対し能力開発の内容を提示したり相談に乗ったりする役割を担うこととされている(※5)。
なお、幼稚園教育職員については、「港区幼稚園教育職員の人事評価に関する規程」(平成12年)に基づき、自己申告と勤務評価(業績評価・行動評価、およびそれらの総合評価)からなる人事評価が行われるようになった。