さまざまな調査結果から明らかになる教職員の長時間勤務の実態に対応する形で、港区教育委員会は平成30年3月に「港区学校教育推進計画」(平成30~32年度)を策定した。ここでは、新規の重点事業として「教員の負担軽減の推進」が掲げられ、校園長の指導のもとで校務を積極的に見直すなどして、教員が子どもに向き合う時間を創出することを目指した取り組みを実施している(※12)。
こうした教員の長時間勤務の実態が問題視されるようになったきっかけとして挙げられるのが、平成25年に経済協力開発機構が実施した国際教員指導環境調査である(※13)。ここで、他の調査対象国と比べた日本の教職員の勤務実態、特に課外活動などを含めた授業以外の時間が多いことなどが問題視されるようになったことを受け、文部科学省は、平成28年に小・中学校に勤務する教員を対象として「教員勤務実態調査」を実施するとともに、省内に「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」を設置し、その協議結果を「学校現場における業務の適正化に向けて」として各教育委員会教育長宛に報告し、内容の徹底を求めた。
[図17] 副園長・副校長対象 区のタイムレコーダーを活用した出退勤時間調査
※港区教育委員会事務局作成
平成29年8月には、中央教育審議会初等中等教育分科会に設置された「学校における働き方改革特別部会」が「学校における働き方改革に係る緊急提言」を、同年12月には中央教育審議会が「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」(中間まとめ)を示した。それらの動きを受けて、文部科学省は、同月に「学校における働き方改革に関する緊急対策」を示すとともに、翌平成30年2月には全国の都道府県・指定都市教育委員会教育長宛に「学校における働き方改革に関する緊急対策の策定並びに学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底について」の通知を出した。
平成29年6月、都教育委員会は都内公立学校教員の勤務実態を正確に把握するため、勤務実態調査を実施し、翌30年2月に「学校における働き方改革推進プラン」を策定した。この中で都教育委員会は、小・中学校の働き方改革に向けた取り組みを支援する方策として、①在校時間の適切な把握と意識改革の推進、②教員業務の見直しと業務改善の推進、③学校を支える人員体制の確保、④部活動の負担を軽減、⑤ライフ・ワーク・バランスの実現に向けた環境整備の5点を挙げている(※14)。
[図18] 副園長・副校長の日常勤務状況調査
※港区教育委員会事務局作成
関連資料:【文書】教職員 港区教職員の働き方改革実施計画~仕事と生活を両立し、心身ともに充実した子どもたちと向き合うために~