学校運営に関する研修は、副校長、副園長や主任級の教員を対象に、学校組織や教務の運営に関する事項、若手教員の育成などを内容として行う研修である。
●教育経営協議会
幼稚園長および小・中学校長を対象に、教育経営上の諸問題の解決を目的とした事業であり、平成10年(1998)に開始された。厳密には港区教員研修には含まれないが、教育経営協議会は、当時の指導室所轄の「各種協議会・懇談会」として位置づけられている。会長は教育長、幼稚園長および小・中学校長の会員によって構成され、区の学校教育の推進における経営上の課題について調査・研究・協議を行い、区の教育の発展に資するとともに、会員相互の資質向上を図っている。
●校長・教頭・副校園長研修会
昭和終期から平成期にかけて、区内小・中学校の全教頭を対象とし、その資質および識見の向上を図るとともに、充実した学校運営に寄与する目的で、教頭研修が行われてきた。この研修会は、職層ごとの定期研修会であり、連絡会としての意味も持つ。平成17年度(2005年度)以降は、「副校長研修会」「副校長教頭研修会」と名称を変えながら継続して実施されている。なお、「副校長」は平成19年の学校教育法の改正により、置くことができるようになった職位である。その役割は、学校教育法第37条第5項に「校長を助け、命を受けて校務をつかさどる」と定められ、第6項において、「校長に事故があるときはその職務を代理し、校長が欠けたときはその職務を行う」ものとされている。
また、平成3年度から8年度にかけて、新任の校長・教頭を対象として、新任管理職としての識見を高め資質の向上を図るとともに、充実した学校運営に寄与することを目的とした「新任校長・教頭研修会」が行われていた時期があった。
●主幹教諭研修会
主幹教諭は、平成19年(2007)の学校教育法改正を受けて、幼稚園・小学校・中学校・高等学校に置くことができるようになった職位である。校長、副校長および教頭を助けたり、時には校長や副校長・教頭の命を受けて校務を整理したりする役割を担う。
これに先立って、都教育委員会は平成15年度から主幹制度を導入し、任用を開始。港区教育委員会には同年度から「主幹」が配置された。平成20年度から、その名称を「主幹教諭」に改正した。これに対応して、区では平成15年度より、主幹、教務・生活指導主任を対象とする主幹・主任研修会が始められた。研修の目的は、校長・副校長を補佐すること、学校運営に参加するとともに、同僚の教員らに対する指導・助言ができるような主幹教諭としての資質を高めることである。
東京都は、団塊の世代と呼ばれる世代のベテラン教師が定年を迎え、管理職試験受験率が減少傾向にある中で(※19)、将来管理職を担う職層として主幹教諭の配置を促進している。
●主任教諭研修会
主任教諭は、学校教育法第37条の「その他必要な職員」に当たる職層であり、「特に高度の知識又は経験を必要とする教諭の職」である。都教育委員会は、平成21年度(2009年度)から主任教諭の任用を開始し、港区教育委員会では同年度から主任教諭が配置されている。その役割は、主幹教諭の補佐や同僚の支援であり、新任の教員などから日常的に相談を受けたり、助言をしたりする関係を築くこと、校内における人材育成を主幹教諭や副校長とともに組織的に行い、将来の管理職候補になるための学校運営の能力を高めることなどである(※20)。
前述した主幹教諭研修会と一体化し、主幹・主任研修会として行われていた時期(平成15・16年度)もあったが、主任教諭を対象とした主任教諭研修会は、平成21年度から行っている。主任教諭研修会の目的は、主任教諭が積極的に学校運営に関わり、主幹教諭とともに若手教員の育成を行えるよう資質を向上させることである。
●教務主任会
教務主任会は、研修会の体系が見直された平成10年度(1998年度)から実施しており、教務主任としての資質を高めるとともに、教務主任としての校務遂行に関わる情報交換を行うことを目的とする研修会である。教務主任会は、小・中学校校長各1人からなる委員長・副委員長と、小・中学校副校長各1人からなる部長、各小・中学校1人からなる委員によって構成されている。
この会の前身は、教務主任間の情報交換や協議を行うことに加え、指導計画改善資料などの研究成果物を作成することを目的として、平成9年度まで実施してきた「教務研究協議会」である。
●生活指導主任会
生活指導主任会は、平成10年度(1998年度)に、生活指導主任としての資質を高めるとともに、生活指導主任同士の情報交換のために組織された。この会は小・中学校長各1人による委員長・副委員長と、小・中学校副校長各1人からなる班長、各校の生活指導主任によって構成されている。
生活指導主任会の前身は、平成9年度まで設置していた生活指導協議会である。これは生活指導に関する情報交換や関係諸機関との連絡を通して、児童・生徒の問題行動や非行などを防止することを目的としていた。
●保健主任会
保健主任会は、平成10年度(1998年度)に、学校における保健教育の充実と発展を図り、保健教育に関する情報交換や児童・生徒の組織的・計画的な指導を行うために組織した会である。その組織は、小・中学校校長各1人からなる担当校長と、小・中学校の保健主任からなる。
平成9年度までは「保健教育協議会」であり、その活動目的は保健主任会に引き継がれている。
●研究主任会
研究主任会は、授業の質を高め、学校運営上の課題を捉えて解決に導くことを目的として平成11年度(1999年度)に作られた組織である。研究主任の資質向上や研究主任同士の密な情報交換も、この会の目的の一つである。
研究主任会の組織は、小・中学校校長各1人からなる委員長・副委員長と、小・中学校各1人の研究主任からなる。
なお、平成14~16年度は、研究主任が中心となり、その他教員も対象に加わって「プロジェクト研修会」が年6回実施されていた。時事的な教育課題や学校の教育課程実施における課題を明らかにしながら、課題を解決できるような質の高い授業を行うための研修会であった。
●進路指導主任会(キャリア教育担当者会)
進路指導主任会は平成10年度(1998年度)に組織された。これは児童・生徒の個性を生かし、豊かな自己表現ができるようにするための指導・助言を充実させることを目指して、学校間での進路指導情報の交換・共有を通して計画的・組織的な指導を行う体制を整えるためである。その後、進路指導に加えキャリア教育にも重点を置いた研究を行うため、平成24年度からは「進路指導主任会(キャリア教育担当者会)」と名称を変更した。
構成員は、小・中学校長各1人からなる委員長・副委員長および、小・中学校各1人の進路指導主任である。
なお、この組織は平成9年度まで、児童・生徒の能力や適性を把握し、小学校・中学校相互に情報を交換しながら、進路指導を行うことを目指した進路指導協議会として機能していた。
関連資料:【文書】中学校教育 進路指導の改善