■港区の教育特区

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●導入の経緯
 港区では教育特区への申請を行うため、平成16年度(2004年度)に「港区における英語教育推進委員会」を設置した。この委員会で教育方法、教育内容、教員の確保や指導体制などを検討し、翌17年5月に文部科学省に特区を申請、同年7月に「国際人育成を目指す教育特区」が認定された。多くの大使館や外資系企業が立地している地域特性を生かし、区立小学校で「国際科」、区立中学校で「英語科国際」を実施することになった。また、区立小・中学校に在籍するさまざまな国の子どもたちが生活習慣、文化などの違いを学び合うことにより、国際協調の精神と国際コミュニケーション能力を備えた真の国際人の育成を目指すこととした。
 平成20年4月の法令改正に伴い、学校教育法施行規則等によらないで特別の教育課程を編成することが可能になった。そのため、「国際人育成を目指す教育特区」については、平成21年7月で認定が取り消された。
 
●教育特区実践内容
 教育特区に関して、港区では以下の取り組みが行われた。
 第一に、小・中学校に英語教育の円滑な導入を図るため、平成16年度(2004年度)より学識経験者らで構成する「港区における英語教育推進委員会」を設置し、指導指針や指導方法、教科書や教材、小中一貫英語カリキュラムなど、小中一貫教育について検討を進めた。
 第二に、小学校に英語指導のためのNT(ネイティブ・ティーチャー)を各校に1人ずつ配置し、学校に常駐することとした。「国際科」では、学級担任とNTのティーム・ティーチングによる授業を実施した。
 第三に、教員の英語指導力向上のため、小学校教員を対象にした教員養成プログラムを開発し、研修を実施した。また、NTによる校内研修会や学校連絡会などを実施した。
 第四に、小学校では独自の指導指針を作成するとともに、独自の教科書および教材を作成した。
 第五に、中学校では、全学年の英語科の授業時数を週2時間から4時間へ拡充した。また、英語によるコミュニケーション能力を図ることを目的として週1時間の「英語科国際」を加え、週5時間の英語教育を実施した。
 第六に、各学校の指導内容の調整や課題を整理し、円滑に事業が実施されるよう指導・助言する英語教育アドバイザーを設置した。
 第七に、実践的な国際理解教育の一環として、小中学生海外派遣事業を実施した。
 第八に、外国人や帰国児童・生徒への教育を支援するため、日本語の教科書の作成などを行った。