●検討実施の経過
港区は、子どもの貧困状況を正確に把握し、対策を推進するために平成27年(2015)7月に「港区子育て支援推進会議」のもとに、「子どもの貧困対策検討専門部会」を設置し、検討を開始した。
●生活福祉の現状
区の平成28年(2016)2月時点の生活保護受給者数は2341人、保護率1・1パーセント、受給世帯数1982世帯であり、生活保護を受給する18歳未満の人数は143人で、全受給者数に占める割合は、6・3パーセントである。
区の18歳未満の子どもがいるひとり親家庭数は、平成17年の761世帯から平成22年の938世帯、平成27年の1039世帯へと増加しているが、一般世帯数に占める割合は5・70パーセント→5・28パーセント、4・53パーセントと減少傾向にある。第1節第3項(1)78ページ[図21](通史編⑧)を参照。
●施策内容
区では、国の大綱を踏まえつつ、対象者をより広くとらえるため、子どもの養育環境の改善支援を意識して、「教育・学習の支援」「生活環境の安定の支援」「保護者に対する就労の支援」「経済的安定の支援」の四つの施策を、区長部局(保健福祉支援部など)と教育委員会が連携・協力しながら実施している。これらの施策は、港区の既存事業を国の大綱に体系づけたものとなっている。
●教育・学習の支援
区では、経済的困難を抱える家庭の生徒の進路選択を支援するため、学習講座を開催し、基礎的学力の定着を図る「学びの未来応援学習講座」を平成29年度(2017年度)から実施している。
また、港区生活・就労支援センターでは、学習相談支援員を配置し、生活困窮世帯の子どもに対し、学習・生活習慣の確立や高校進学などへの支援を行っている。
●相談環境の充実
平成27年(2015)1月に港区生活・就労支援センターを設置し、家計相談支援事業、学習相談支援事業などを行っている。また、平成29年度から、教育心理学者、スクールソーシャルワーカー・弁護士・歯科医師らで構成する「学びの未来応援ケース会議」を年3回開き、学校から要請があった対象児童・生徒について支援策を検討している。
●家庭教育の啓発
区では平成29年度(2017年度)から、子育てなどに悩みを抱えている保護者を対象に「学びの未来応援家庭教育講座」を開催し、児童・生徒の養育環境の改善を図っている。
●経済的支援
区では教育扶助・就学援助制度(前掲)の他、学業に意欲を持ちながら経済的理由により就学困難な人に対して奨学資金を貸し付ける奨学貸付事業を昭和34年度(1959年度)から実施している。また、保護者に対する就労支援・経済的支援策として、生活保護受給者・生活困窮者への就労支援事業、ひとり親家庭就労支援事業、ひとり親家庭自立支援教育給付金事業などを実施している。
関連資料:【図表および統計資料】教育行政 奨学資金の貸付金額
関連資料:【図表および統計資料】教育行政 奨学資金貸付・返還状況
関連資料:【図表および統計資料】教育行政 奨学生年度別採用状況