■社会教育・生涯教育・生涯学習

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 内閣総理大臣直属の諮問機関である臨時教育審議会は、昭和59年(1984)から昭和62年にかけて四次にわたる答申を提出した。その答申では、個性重視や国際化、情報化といった問題と並び、日本の教育制度を生涯学習体系に移行するという方向性が示された。この臨時教育審議会の答申を経て、教育行政においては「生涯学習」という言葉が一般的に用いられるようになった。
 昭和63年には、文部省(当時)内の機構改革によって社会教育局が生涯学習に関する企画調整をするための生涯学習局へと改組されるなど、生涯学習体系を目指す動きが見られるようになった。こうした制度改革の中で、社会教育行政は、それまでの学校偏重の教育を改めていく上で重要な役割を担うものとして期待された。
 なお、昭和56年に出された中央教育審議会答申「生涯教育について」では、生涯学習について以下のように説明している。
 
  今日、変化の激しい社会にあって、人々は、自己の充実・啓発や生活の向上のため、適切かつ豊かな学習の機会を求めている。これらの学習は、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであり、必要に応じ、自己に適した手段・方法は、これを自ら選んで、生涯を通じて行うものである。その意味では、これを生涯学習と呼ぶのがふさわしい。
 
 その上で、「この生涯学習のために、自ら学習する意欲と能力を養い、社会のさまざまな教育機能を相互の関連性を考慮しつつ総合的に整備・充実しようとするのが生涯教育の考え方」なのであり、「生涯教育とは、国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習を助けるために、教育制度全体がその上に打ち立てられるべき基本的な理念である」と生涯学習と生涯教育の関係を説明した。
 こうして日本では、生涯学習の支援という観点に立った社会教育の役割が広く検討されるようになった。