■生涯学習振興のための法整備

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 平成2年(1990)、「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」が施行された。この法律は、都道府県教育委員会が学校教育や民間事業者を含むさまざまな生涯学習に関する情報を把握して生涯学習振興基本構想を作成・実施することや、都道府県の教育委員および知事の諮問機関である生涯学習審議会を設置することについて定めている。同年のうちに、文部省内には社会教育審議会に代わって生涯学習審議会が設置された。また、中央教育審議会が示した答申「生涯学習の基盤整備について」において、生涯学習センターの開設、学習情報提供や学習相談の体制整備が推奨されるなど、文部省を中心に、生涯学習を振興するための体制が整えられていった。翌平成3年の中央教育審議会の答申「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」では、学校に限らないさまざまな学習の機会を選択し、その学習成果が評価されるような「生涯学習社会」を築くことが、日本の教育行政の目指すべき方向性として示された。
 生涯学習審議会は、学校教育と社会教育との連携(平成8年)や、ネットワーク化(平成10年)、学習成果を活用するための方法を検討すること(平成11年)、情報通信技術の活用(平成12年)など、「生涯学習社会」を実現する具体的な検討を行った。さらに、平成13年には、省庁再編を通して、文部省は文部科学省に、生涯学習局は生涯学習政策局に、生涯学習審議会は中央教育審議会の生涯学習分科会へと再編され、生涯学習体系への移行が進められた。
 平成18年には、教育基本法が改正され、「国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない」という「生涯学習の理念」を示す条文が加えられた(教育基本法第3条)。この改正時には、自治体が家庭教育支援を行うこと(教育基本法第10条)や「学校、家庭および地域住民等の相互の連携協力」を進めること(教育基本法第12条)についても新たに条文が設けられ、生涯学習を推進するための法的な整備も進められた。