平和事業の具体的な取り組みは、「平和講演会」「平和映画会」「平和写真展」といった啓発事業と、青年団の派遣事業である「平和青年団派遣事業」からなる。詳細は第8節第2項(2)275ページを参照。
平和講演会は、平和について理解を深めるとともに、意識を高めていく機会として実施してきた。当初は戦争の記憶を語り継ぐために、戦争体験に関するテーマを設定していたが、平成期に入る頃には、戦争に限らず、貧困・差別・いじめや環境汚染などのテーマも視野に入れることを検討してきた。この平和講演会は、275ページで取り上げる「平和青年団派遣事業」に参加する青年の事前研修事業として位置づけられたり、第8節第2項(1)255ページで取り上げた「成人セミナー」として実施されたりしながら、他の社会教育事業との組み合わせにより広く展開された。
平和に関する映画を上映する「平和映画会」は、財団法人平和協会(平成25年度から一般財団法人平和協会)が、昭和29年(1954)に芝公園内に「こども平和塔」を建てたことを契機に継続的に実施している「こども平和まつり」の会場において、社会教育課の平和事業として実施してきた。
「平和写真展」は区民に募集した平和に関する写真を展示するもので、主に区役所や青年館、教育センターなどのロビーで行われている。「こども平和まつり」開催時には、その会場に展示することもあった。昭和61年の平和写真展では、「子ども同士が仲よく交流している姿」や「外国人の子どもとのふれあい」といった内容の写真を広く区民に募集する形で実施した。
これらの平和事業は、平成17年度(2005年度)までは社会教育課(平成10年度以降は生涯学習推進課)の事業として継続された。平成18年度の区役所・支所改革に伴い、「平和都市」としての平和および人権関係の事業を行っていた総務部総務課に引き継がれ、名称を「平和青年団事業」と変更して、その後も継続的に実施されている(※11)。