港区では、文化財保護法に基づき、昭和53年(1978)に「港区文化財保護条例」を制定し、区内に遺された貴重な文化財の調査および研究を進めている。学術的に価値が高く、区の歴史や文化の理解に必要不可欠と判断された文化財は、港区文化財保護審議会への諮問・答申を経て指定される。初めて港区指定文化財に指定された文化財は、昭和54年の明治学院記念館他4件であった。
また、平成3年(1991)からは、文化財保護条例の一部改正により新たに港区文化財総合目録を作成し、指定文化財および区の歴史・文化を知る上で必要な文化財を登録する制度が開始された。これは学術的価値に重きを置いて指定される文化財に加え、より区民の身近に存在する文化財も保護の対象とするものである。令和元年度(2019年度)までに、指定文化財139件、登録文化財53件、合計192件が登録されている。
屋外など区民が通常見学可能な文化財については、指定文化財には説明板、登録文化財には文化財標柱を立て、条例施行以前に行われていた文化財表示板とともに区民に周知し、理解を深めている。さらに、指定・登録された文化財の修理などに当たっては、事業者(主に所有者)に対し補助金や助成金を交付して負担の軽減を図るとともに、一部の国宝や重要文化財および東京都指定文化財に対しても補助金を交付している。
文化財保護法に基づく各種文書手続き事務に関しては、昭和25年に制定された文化財保護法および東京都文化財保護条例の数度の改正を経て、区の役割も次第に大きくなっている。特に地方分権一括法の制定に伴う平成11年の改正では、文化庁および東京都に提出する届出などの文書は、すべて区が取り次いで届けられることとなり、その際には教育委員会の意見を付することとなった。また、史跡名勝天然記念物の軽微な現状変更に当たっては、教育委員会が許可およびその取り消し、停止命令を出す権限が委譲された。この結果、区内に所在するすべての指定文化財に関して、その状況を知ることが可能となるとともに、文化庁・東京都教育委員会・港区教育委員会の三者が所有者と協力してその保存・活用に当たる体制が確立された。
関連資料:【学校教育関連施設】