■展示公開

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 港区立港郷土資料館における展示は、文化財係が文化財保護活動の一環として進めている調査・研究活動の成果をわかりやすく区民らに公開するものであった。
 昭和57年(1982)の開館当初から、「常設展」では、伊皿子(いさらご)貝塚遺跡の出土資料を中心に港区の原始・古代から現代に至る歴史や文化を展示してきた。その一部はテーマを設けて、企画展やコーナー展として定期的に展示替えを行い、可能な限り多くの館蔵資料を公開している。さらに、港区と関わりの深いテーマについて調査・研究した成果をもとに、他の関係機関が所蔵する資料も含め、展示する特別展や特別企画展を開催して、区民らがより広い視野から区の歴史や文化を知る機会を提供している。
 平成11年(1999)には「さわれる展示室」を開設した。これは、平成9年から常設展示室の一角に設けた「触れる展示コーナー」を発展させたもので、従来講座などに利用してきた学習室を廃止・改修して作られた。
 縄文・弥生・古墳時代の土器や石器、昭和30年代ごろに使われていた生活用具やミンククジラの全身骨格などおよそ50点を常時展示公開してきた。この展示室では来館者が展示資料を自由に手に取って学習することができ、開室時間中は学芸員が常駐して来館者の質問などに対応している。一般的に博物館などの展示では、資料に触ることは禁止されることが多いが、この展示室ではそうした制約はなく、「視覚」中心になりがちな展示も「触覚」を使うことで、より一層資料への理解を深める一助となっている。開設前には利用の少なかった幼稚園児から小学校低学年の来館者が増えたことも、成果の一つに挙げることができる。平成19年には「さわれる展示室」のリニューアル工事を実施し、展示資料も充実した。