刊行に当たって

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港区教育委員会教育長 浦田 幹男
このたび、令和4年3月刊行の『港区教育史』(通史編)および『港区教育史』(資料編)に続き、最終巻となる「くらしと教育編」を刊行いたしました。
20世紀から21世紀に時代は流れ、持続可能な社会への移行や情報通信技術の進展など、社会状況は急速に変化しております。港区の教育の現場においても、環境教育として地域住民および専門家の方々と連携し、地域の課題に向き合う取り組みや、国が進めるGIGAスクール構想を踏まえた小・中学校の児童・生徒への1人1台のタブレット端末の配備など、変化を的確に捉えたさまざまな施策を推進しております。
複雑かつ多様な課題に対応することが求められている今、これまでの港区の教育のあゆみを振り返り、先人たちの功績を学ぶことは誠に意義深いことであります。
港区教育委員会は、昭和62年の『港区教育史』(上・下巻)、平成9年の『港区教育史』(資料編1、2)の刊行から20年以上が経過した平成29年3月15日の区政70周年を迎えたことを機に、港区の教育のあゆみを体系的に記録し、後世に語り継いでいくことができる教育史として、『港区教育史』の編さんに取り組み始めました。
区民の皆さまからの資料提供、6年にわたる監修者・執筆者による調査研究および港区教育史編さん委員会における検討など、多くの方々からの支えによって、「くらしと教育編」を、皆さまにご提供できますことは誠にありがたく、喜ばしいことです。
「くらしと教育編」は、区民のくらしと教育との関係や、地域と学校との関わり、子どもの様子といったかけがえのない歴史を、多様な側面から描いたものです。港区内の学校に保管されている史資料(約2万5千点)の調査を基に14テーマを選定し、子どもや保護者、地域の方々の視点で新たに編さんいたしました。図表、写真などを多く用いることで、わかりやすく親しみやすい、区民が身近に感じられる教育史となっております。
また、WEBサイト「デジタル港区教育史」には、本書のデジタル版を公開するとともに、編さん過程で発見された貴重な資料や映像を公開しています。書籍版、デジタル版により、多くの先人たちが教育に捧げられた御苦労と港区の教育のあゆみを捉え、これからの教育のあり方を考える上での一助となれば幸いです。
最後に、『港区教育史』の刊行に当たって、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による様々な制約がある中、貴重な史資料の提供や調査活動にご協力いただきました関係者の皆さまに心から御礼を申し上げるとともに、編さんにご尽力いただきました監修者・執筆者をはじめ、港区教育史編さん委員の皆さまにも深く感謝を申し上げまして、刊行のごあいさつといたします。
令和5年3月