子どもの就学における行政と家庭

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この章では、明治30年代頃を取り上げて、子どもの尋常小学校での就学の状況を、主に東京府学事年報に掲載された学事統計から見ていく。
就学の普及は、教育行政の発足以来最大の課題であった。そのための最も直接的な取り組みは、就学事務である(1)。行政が、子どもの存在を把握し、就学を「督励」(督責と奨励)する。就学事務の実施は区が担っている。
一方、別の側面から見ると、子どもの就学は、保護者・家庭によって実現する。法令上、親権を前提にして、子を就学させる義務(就学義務)が保護者に課せられている(2)。
関連資料:【通史編3巻】2章概節2項 「小学校令」の改正