学校給食=教育

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栄養研究所の原は、学校給食の目的をさらに発展させ、「学校給食は教育的でなければならぬのであります。教育は(中略)智・徳・体の三育から成って居ります」と説き、救貧として福祉の領域にあった給食を、教育として位置づけ直した(原『学校給食と献立の栄養学』)。子どもの福祉と教育が、学校給食を介して重なった瞬間だった。
また、学校給食=教育は、児童だけにとどまらない。原は、家庭の食への影響も視野に入れる。
 子供が『学校のご馳走は大変おいしい。お母さん家でもあんなのを作って下さい』と言えば、母は子どもの愛に引かされて作ってやると云うことになります。熱心な母親になれば学校の教を受ける様にもなる。そこで家庭の食物が経済化し合理化することになります。斯(か)くして学校給食は母姉を教育する手段となるのであります。(原『学校給食と献立の栄養学』)
学校給食は、母親たちを教育し、家庭の食生活を改善することも期待されたのである。