新教育に積極的な小学校

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学校雑誌で見る限り、新教育に積極的に取り組んだと思われるのは青南小学校である。大正13年(1924)の『青南学報』第4号は「児童の自学に就いて」と題して、授業に自習時間を特設していることを紹介している。
 各学年に順応した自習法の研究は主として此(こ)の時機を与へて取扱つて居ります。即ち読むこと、書くこと、意味の深究、又(また)は実験実測をする等の事に第一に研究事項を定めて第二に、不可解な難意なる質問事項の調査をし、第三に児童自らにより辞書や参考書等により解決の出来得るだけ考へさせ、全く不能解決の場合を教師に問ふて解決させる様にします
児童に解決の難しい課題を与え、まずは自分たち自身で調べて考えさせる。そして解決できないときだけ、教師に問うことで解決していくことが自習時間だったようだ。『青南学報』は「旧教育の打破、そして新教育の建設、これが輓近(ばんきん)教育界改造の根本の叫びであり」、「教育思想界に著しい進歩発達を現出しつゝあることは誠によろこばしい現象」であると、新教育を手放しで賞賛している。自習時間は「児童の延びんとする芽生へ、学ばんとする力を充分に認めて、個別的にも各児の進歩を図る」学習法だとされた。
麻中小学校も、自学自習について「現今の一大思潮で、全教育界を風靡(ふうび)してゐる有様であります」と考えていた(『アサナカ』第1号、大正13年)。そして、家庭に対しては「学ぶ其事(そのこと)に興味を持たしめ、窮屈な感じや無味乾燥な感じを起させない様にすること」、「子供の嫌がる学科は好きなものと結びつけ、悪い所を叱るよりは善い所を賞賛」することを求めている。子どもの興味関心を重視する姿勢は新教育の考え方に通じるものがある。
関連資料:【通史編4巻】3章1節3項 季別教育法の実施
関連資料:【通史編4巻】3章1節3項 児童会の活動
関連資料:【通史編4巻】3章1節3項 入学試験準備