戦前の祝日大祭日は、皇室祭祀に関わるものが並んでいる。昭和9年の園日誌を見ると、創設最初の入園式が行われた翌日の4月3日は神武天皇祭で休園であった。この他にも、9月24日は秋季皇霊祭につき休園、10月17日は神嘗祭(かんなめさい)につき休園、11月23日は新嘗祭(にいなめさい)につき休園している。いずれも当時の暦における祝祭日であり、皇室祭祀の行われる日だった。
一方、神社の大祭のために休園することも多かった。同じ昭和9年の園日誌では、4月27日は靖国臨時大祭のため休業になっており、4月30日は靖国神社例祭につき休業となっていた。さらに9月17日は地元の氷川神社例祭につき休業であったが、ただし校長は幼児総代を連れて神社を参拝していた。10月13日には明治神宮奉祝体育デーに参加し、10月20日は明治神宮に参拝している。10月23日は秋季靖国神社祭につき休園という具合に、神社大祭に合わせて休園したり参拝したりしていたことがわかる。昭和9年12月23日は皇太子(現・上皇)1歳の御誕生日だったため、お祝いの会が幼稚園で催されていた。10時より敬礼、君が代2回、園長お話の後万歳三唱、校庭旗行列をして宮城(きゅうじょう)遥拝、というプログラムだった。
また、4月29日の天長節(てんちょうせつ)(昭和天皇誕生日)には「午前十時より祝賀式を行ふ。区役所、父兄約二十名、多数来園あり、君が代、校長のお話ありて式を終へ、菓子、日の丸旗等を渡す」と記録されている。昭和12年度園日誌でも、4月29日の天長節で祝賀式を小学校低学年と挙行した、とある。
このように、神社と皇室にまつわる多くの行事が行われ、皇室祭祀にちなんだ祝祭日は日常的に休園となっていた。