本来PTA入会時に、その目的を理解し会員としての意識を自覚して入会していたゞくことになっているのですが、現状はプリント配布で済ませているので理解しにくいとは思われます。PTAの委員等の選出には大変困難を極めております。これからは、もっと積極的に協力下されば幸いです。二年目を迎え、PTAの目的とか活動の方向など今一度考えてみました。
(鈴木昇児「PTAの目的と活動」『本村だより』通巻65号、昭和61年)
昭和61年(1986)7月、本村小学校のPTAの広報誌の巻頭、会長の言である。PTAの目的が会員に理解されていない、委員などの選出が困難である、この問題の中で、改めて活動の方向を考えてみたという。
もっとも、会長自身にとっても、PTAの目的は初めから明確だったわけではないようである。
先日、港区連合PTA研修会での「PTAの目的は一体何(な)んでしょう」という講師の問掛けに、適切な回答を出し得ませんでした。講師の方は、「PTAは、父母と教師が協力し合って、よりよい親や、よりよい教師になる為に、お互いに学び合うとともに、子供の幸せの為に活動することを目的とする」という東京都の報告書の一文を引用されました。よい親やよい教師になるために、親と教師とが協力しあうこと、次に親と教師が、又親同志(ママ)がお互に学習すること、つまりPTAは第一義的には学習の場であり、それと平行(ママ)して子供の幸せの為の活動が存在するということなのです。(同前)
親と教師の「学習の場」と「子供の幸せの為の活動」、東京都の報告書に基づいてこの2種の目的が意識されており、その上で「学習の場」が第一義であるとする。文中の研修会は、港区立小学校PTA連合会の行事であり港区教育委員会の社会教育事業と位置づけられてもいる(1)、PTA研修だろう。
そもそもPTAは個々の学校を単位として子どもの保護者と教師がつくる団体である。その目的を「PTA連合会」や教育委員会が行う研修で教わることは矛盾であり、そのPTAの目的にさまざまな理解があり得ることもここに表れている。また、子が小学校に在学していることと、保護者自身が「学び合う」意志を持っているかは全く別である。そして目的の理解しにくさとも関連して、会員の参加意識は高まらず、役員のなり手を選ぶのが困難なこともある。PTAがこのような矛盾の中に置かれていることは、今日も変わらないだろう。
[図9-1] 「芝小幼バトミントンクラブ」の紹介
出典:芝小学校PTA広報部『芝小だより』第88号、昭和60年12月
[図9-2] 給食試食会を伝える記事
出典:『月の岬 御田小学校PTA機関誌』第82号、昭和63年3月
[図9-3] PTA行事(料理講習会)を伝える記事
出典:檜町小学校PTA広報部『ひのきだより』第57号、昭和61年7月
関連資料:【通史編6巻】5章9節2項 PTA研修会の開催