中学校のオリンピックへの関わり方として、小学校とはいくつか相違がある。まず、中学校の中には、在校生徒が聖火リレーの随走者に選ばれていたところがあった。聖火リレーは四つのコースで都内を走ったが、第2コースは10月8日に港区3区間をリレーするコースだった(24)。港区では男子10人、女子2人が随走者に選ばれていた(25)。このうち中学校校誌からは、赤坂中、朝日中、北芝中の生徒が選ばれたことが判明する。渋谷区から聖火を引き継いで随走した朝日中の生徒は、その体験を振り返って「『出発』という正走者の声で、全員が歩調をそろえ、かけはじめ、あとはもう夢中で、何も覚えていなかった(26)」と、極度の緊張とともに走ったことを綴っている。この他、赤坂中の生徒が比較的冷静に周囲を観察しながら走ったことが『あかさか』に記されているが、その他の随走した中学生については、ほとんど不明なままである。