〔(4) 東町幼稚園での研究成果〕

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東町幼稚園は、平成の時代を迎える頃には外国籍や帰国子女の園児が常時在園するようになった。平成元年度(1989年度)には駐日外国人幼児6人とアメリカからの帰国幼児1人、同2年度には駐日外国人幼児4人とアメリカからの帰国園児1人が在園していた。昭和62年度(1987年度)から平成3年度の5年間の外国人園児は25人、在籍園児の国籍は韓国、台湾、イラン、パキスタン、フィリピン、スーダンだった(9)。
東町幼稚園のある麻布地域には十数カ国の大使館があり、民族衣装を見かけたり、日本語以外の言語を街で見聞きしたりすることも増えており、商店街でも外国人向けの日用品を売る店が出てきた。子どもを取り巻く環境の中に、外国人の存在が目立つようになってきたのである。東町幼稚園は、平成3・4年度区研究奨励園に選ばれ、2年にわたり園児の国際理解教育について研究を重ねた。
具体的には、スウェーデン人女性、カナダ人女性、アメリカ人女性、ブラジル人女性といった外国人講師を月に2~3度招き、出身国の手遊び、ゲーム、民族衣装や外国語の歌の紹介などを通して、異文化交流を実施した。
すると、園児の異文化に対する姿勢に変化が見られるようになった。例えば、家で母から「今日は英語の先生と、どんなことをしたの」と聞かれた園児は「英語の先生ではなくてセシリア先生でしょ」とたしなめたそうだ。さらに「目は黒と白で、みんなの人(ママ)間と同じ。口は赤くてメガネをかけているの、やさしくてさ!」と答え、「絵で先生の顔を描いて教えてくれた」という。園児と外国人講師との人間的な交流がなされて、子どもの国際感覚に大きな影響を与えていることがわかる。


[図14-5] 外国人講師との交流活動

出典:東町幼稚園『国際性豊かな幼児を育てるために―外国人との交流を通して―』平成4年

関連資料:【区立幼稚園・小学校・中学校の沿革と現況】東町幼稚園