第一條 麻布區普通教育ニ關シ有志者團體ヲ設ケ之ヲ麻布區教育會ト稱ス
第二條 本會ノ目的ハ區内ノ普通教育事業ノ普及進歩ヲ企圖スルニ在リ其事業ノ槪目左ノ如シ
一小學校ニ關スル事 一幼稚園ニ關スル事
一兒童就學ニ關スル事 一貧民教育ニ關スル事
一家庭教育ニ關スル事 一實業教育ニ關スル事
一學術ノ講習ニ關スル事
一教育事業ニ特別ノ功勞アル者ヲ表彰スル事
一孝子節婦其他篤行者ヲ表彰スル事
第三條 本會ハ前條ニ掲ケタル事業ヲ講究シ其實施方法ヲ商議シ且之カ實行ヲ期スルモノトス
第四條 本會ノ事務所ハ當分麻布區役所學務委員詰所内ニ之ヲ置ク
第五條 區内ニ住居スル者又ハ學事ニ關係アル者ニシテ本會ノ目的ヲ贊助スル者ハ會員タルコトヲ得
第六條 入會セントスル者ハ住所身分氏名ヲ記シ事務所ニ申込ムヘシ
第七條 退會セントスル者ハ其旨ヲ記シ事務所ニ屆出ツヘシ
第八條 學識名望アル人ニシテ本會ニ於テ特ニ裨益アリト認ムル者ハ請ウテ名譽會員ト爲スコトアルヘシ
第九條 本會ハ多年會長又ハ副會長タリシ人ヲ名譽會長ニ推戴スルコトアルヘシ
第十條 本會ニ左ノ職員ヲ置ク
會 長 一 名 副會長 一 名
幹事長 一 名 幹 事 七 名
常議員 三十名 書 記
第十一條 會長ハ本會ノ事務ヲ總理シ會ノ議長ト爲リ副會長ハ會長ヲ補佐シ會長事故アルトキハ之ヲ代理ス
第十二條 幹事長ハ幹事會ノ議長ト爲リ事務ヲ整理ス
第十三條 幹事長及幹事ハ本會ノ庶務會計記錄ヲ掌理シ會長副會長事故アルトキハ之ヲ代理ス
第十四條 常議員ハ會長ノ諮問ニ應シ本會ニ於テ施行スヘキ事業及常會又ハ臨時會ニ提出スヘキ議案ヲ審査シ
臨時急施ヲ要スヘキ事件ヲ決議ス
會長副會長幹事長及幹事ハ常議員タルノ資格アルモノトス
第十五條 書記ハ會長副會長幹事長及幹事ニ屬シ算筆及記錄ニ從事ス
第十六條 會長副會長幹事長及び幹事ハ會員ノ投票ヲ以テ選擧スルモノトス任期ハ滿一箇年トス
但滿期ニ至リ再選スルコトヲ得
第十七條 常議員ノ半數ハ會員ノ投票ヲ以テ擧シ半數ハ會長特選スルモノトス任期ハ滿一箇年トス
但滿期ニ至リ再選スルコトヲ得
第十八條 書記ハ會長選定シ相當ノ報酬ヲ與フルモノトス
第十九條 會員ノ總會ハ定期總會及臨時總會ノ二種トス
第二十條 定期總會ハ每年春秋二回之ヲ開ク
但會場日時及議題ハ其都度會長ヨリ之ヲ通知ス
第二十一條 總會ニ於テハ本會ノ事業ヲ審議スルモノトス
第二十二條 每年春季ノ總會ニ於テ職員ノ選擧ヲ行ヒ前年中ノ會狀況及收支決算ヲ報告スルモノトス
第二十三條 急要ノ事件アルトキハ會長ノ意見又ハ會員三十名以上ノ請求ニ依リ臨時總會ヲ開クコトヲ得
第二十四條 臨時總會ニ於テハ特ニ開會ヲ要シタル事件ノミヲ審議スルモノトス
第二十五條 總會ニ於テハ教育ニ關スル講義又ハ演說ヲ爲スコトアルヘシ
此場合ニ於テハ公衆ノ來聽ヲ許スコトヲ得
第二十六條 會員五名以上連署シテ建議ヲ提出シタルトキハ常議員之ヲ評決ス
第二十七條 各會員ハ會費一ヶ月金拾錢宛每一月四月七月十月ニ三ヶ月分ヲ取纏メ醵出スルモノトス
但一年分或ハ半年分ヲ一時前納スルモ隨意トス
第二十八條 本會ニ金圓物品等寄附スル者アルトキハ本會ヨリ謝狀ヲ贈リ氏名幷ニ寄贈ノ員數等ヲ簿冊ニ登錄
シ總會ニ報告ス
第二十九條 會員ニシテ本會ノ目的ニ對シ不適當ト認ムヘキ者アルトキハ常議員ノ評決ニ依リ本會ヲ除名スル
コトヲ得
第三十條 此規則ハ總會ニ於テ出席員三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルニ非サレハ改定スルコトヲ得ス
小學校教員及幼稚園保姆功勞表彰規程
第一條 本區内市立幷ニ代用小學校正教員准教員及ビ幼稚園保姆ノ精勤者ニハ本規程ニ依リ表彰狀ニ金圓ヲ添
ヘ其功勞ヲ表彰スルモノトス
第二條 皆勤一ヶ年每ニ金壹圓五ヶ年目ニハ特ニ金參圓トシ以後五ヶ年目每ニ金參圓宛ヲ遞加スルコト左表ノ
如シ
一 年 | 五 年 | 十 年 | 十五年 | 二十年 | 二十五年 | 三十年 |
一 圓 | 三 圓 | 六 圓 | 九 圓 | 十二圓 | 十五圓 | 十八圓 |
第三條 功勞表彰文及目錄記載例ヲ左ノ通定ム
(表彰狀及目錄書式ハ之ヲ略ス)
第四條 每年四月一日ヨリ翌年三月三十一日迄ノ出缺勤ヲ調査シ每年春季總會ニ於テ授與式ヲ行フモノトス
附 則
第五條 本規程施行前ノ精勤者ニハ第二條ヲ準用シテ之ヲ表彰スルモノトス
麻布區教育會巡回教育文庫規程
第一條 本區初等教育上ニ裨益ヲ與ヘンカ爲メニ巡回教育文庫ヲ設置ス
第二條 本文庫ハ豫メ期限ヲ定メテ本區内小學校及幼稚園ヲ巡回セシメ職員ノ閱覽ニ供スルモノトス
第三條 本文庫ヲ分チテ甲號及乙號ノ二トス
第四條 本文庫甲號ニハ教授上ノ資料及其他教育上ノ參考圖書ヲ備フ
第五條 本文庫乙號ニハ教育ニ關スル雜誌及幼少年ノ讀物若クハ雜誌ヲ備フ
第六條 本文庫ニ關スル事務ヲ管掌セシメンカ爲メニ左ノ役員ヲ置ク
委 員 長 一名 委 員 若干名
第七條 役員ハ各小學校及幼稚園ノ職員中ニ就キ會長之ヲ囑託スルモノトス但其任期ヲ各一箇年トス
第八條 本文庫ニ備フヘキ圖書ハ役員會ノ協定ニ依ルモノトス
第九條 圖書書凾等ヲ毀損若クハ紛失シタルモノアルトキハ之ヲ辨償セシム
第十條 本文庫巡回ニ關スル細則ハ委員長之ヲ定メ會長ノ承認ヲ經ルモノトス
第十一條 巡回ヲ終リタル圖書ハ委員長之ヲ保管シ本會會員ニ限リ之ヲ貸與スルコトヲ得
麻布區教育會調査部規程
第一條 本部ハ教育上適切ナル問題ヲ調査研究シテ本區普通教育上ニ貢献スルヲ以テ目的トス
第二條 本部ハ會長ヨリ囑託シタル部員十五名及幹事二名ヲ以テ組織ス但シ囑託部長ノ任期ハ一箇年トス
第三條 本部ニ部長副部長各一名ヲ置ク部長及副部長ハ部員ノ互選ヲ以テ之ニ任シ部長ハ本部ニ關スル一切ノ
事務ヲ整理シ且會議ノ議長ト爲リ副部長ヲ補佐スルモノトス
第四條 本部ハ必要アリト認メタル時ハ臨時部員ヲ置クコトヲ得 但シ此ノ場合ニハ部長ヨリ其ノ事由ヲ具シ
テ會長ニ申請スベシ
第五條 本會員ハ本部ニ意見ヲ提出スルコトヲ得
第六條 本部ニ於テ調査シタル事項及本部ノ經過ハ每年二回九月及三月部長ヨリ本會ニ報告スルモノトス
第七條 本部ニ要スル經費ハ每年豫算ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 本部ハ調査ニ關スル細則ヲ設クルコトヲ得
麻布區教育會教育懇話會規則
第一條 會員ノ親睦ヲ進メ智識ヲ交換セシメンカ爲メニ教育懇話會ヲ開ク
第二條 本會々場ハ區内市立小學校々舍ノ一部ヲ借用シテ之ニ充ツ
第三條 本會ハ每月第四土曜日午後一時ヨリ午後六時ニ至ル間開會スルモノトス
第四條 本會ニ左ノ役員ヲ置キ本會ノ取締及本會ニ關スル一切ノ事務ヲ管掌セシム
委 員 長 一名 委員男女 各二名
役員ハ會長ヨリ囑託スルモノトシ其ノ任期ヲ一箇年トス
第五條 本會ノ經過狀況ハ度年末ニ於テ委員長ヨリ本會長ニ報告スルモノトス
第六條 本會ニ要スル經費ハ每年豫算ヲ以テ之ヲ定ム
第七條 委員長ハ本會取締ニ關スル細則ヲ規定スルコトヲ得但細則ヲ設ケタルトキハ直ニ會長ニ報告スルヲ要ス
活動狀況
○春季總會 明治四十三年五月十四日午後一時半から本村小學校において開會。會務報告、會計報告。教育功
勞者表彰を行う
○秋季總會 明治四十三年十一月十九日午後一時半から麻布區役所において開會。會務報告、會計報告。水泳
會の狀況とその收支決算報告。府縣連合教育會の經過と群馬縣下學事狀況の報告。議事として教
育懇話會開設の件と調査部設置の件について原案可決。餘興に講談を行う。
◎常議員會
第一回 明治四十三年四月二十八日、本區役所樓上に於て開會。春季總會に關する件及び四十三年度收支豫算
に關する件を協議したり。
第二回 同年九月九日、本區役所樓上に於て開會。關東東北聯合府縣教育大會加盟に關する件を協定したり。
第三回 同年十月六日、本區役所樓上に於て開會。東京府郡區聯合教育會加盟に關する件及び秋季總會開會に
關する件を協議したり。
◎委員會
巡回文庫委員會 明治四十三年四月十八日、本區役所樓上に於て開會。開設諸凖備につき協議したり。
講習委員會 同年六月二十三日南山小學校に於て開會。山田時次郎氏を委員長に選任し本年度は、本區に
於て國定教科書に關する講習會開設せらるゝ豫定なるにつき、區當局者と交渉の上開會する
ことゝせり。
水泳委員會 同月同日、南山小學校に於て開會。委員長に小澤卯之助氏を選任し、開設凖備に着手したり。
◎幹事會
第一回 明治四十三年五月九日、本區役所樓上に於て開會。英國皇帝陛下崩御につき祝賀會延期の件を決議
し、會員に通知したり。
第二回 同年六月三日、本區役所樓上に於て開會。祝賀會開會の準備を整へたり。
第三回 同年九月五日、麻布小學校内に於て開會。關東東北聯合教育大會加盟に關する件を協議したり。
第四回 同年十月二日、飯倉小學校内に於て開會。秋季總會に關する件につき協議したり。
第五回 同四十四年二月二日、本區役所樓上に於て開會。調査部及び教育懇話會の件につき協議したり。
(『麻布区教育会会誌』明四三)