赤坂区教育会

   赤坂區教育會の事業
 本會は大正五年の創立にかゝり、赤坂區に於ける教育の改良進歩を圖るを以て目的とするものである。而して事務所を赤坂區役所内に置き、その目的を達成するために左の事業を行っている。
 一 教育上の須要要項を調査研究すること
 二 教育學術等の講習會、講演會等を開催すること
 三 區内教育の特別功績者又は善行者を表彰すること
 四 虚弱兒童の養護施設を擴充すること
 五 其他本會の目的を逹するに必要なる事項
 創立當初は農學博士横井時敬會長に推薦されて之を主宰し、尋で陸軍大將武徳會々長本郷房太郎が第二代會長に當選し、更に昭和六年六月侯爵大隈信常が推されて會長となつた。
 かくて本會は設立以來二十數年間わが赤坂區の教育事業に貢献して來たのであるが、現に每年夏季に於て本會の主催經營しつゝある沼津臨海學園の如きは、その重要なる事業の一である。今、昭和十五年度に於ける實施事業の一斑を示せば、同年七月中吃音兒童三十八名に對し吃音矯正講習會を開催して、多大の效果をあげ、同年中區内小學校長及び訓導等の大陸、九州地方、名古屋方面等の學事視察旅行に對して旅費を補給したこと、區内の教育功勞者に對して表彰式を擧行し、元青山尋常小學校々醫詫摩武彥氏に感謝狀及び記念品を贈呈し、又勤續教員三十五名並に精勤教員二十八名に記念品料及び表彰狀を授與したこと等である。
 次に昭和十六年度の歳入歳出豫算を掲げて、本會事業の全貌を示せば、左の通りである。
 
  昭和十六年度赤坂區教育會歳入出豫算
 一 歳入之部 貮萬七百四拾圓
   内譯
  一 財産より生ずる收入 四百九拾八圓
  二 會費及寄附金收入 壹萬參百五拾圓
  三 補助金 七百五拾圓
  四 繰越金 千貮百貮圓
  五 夏季施設收入 七千九百貮拾圓
  六 雜收入 貮拾圓
 一 歳出之部 貮萬七百四拾圓
   内譯
  一 事業費 壹萬七千百參圓   總會費、講演並講習會費、調査並研究費、職傭員表彰費、
                  健康兒童表彰費、體育奬勵費、奬學費、科學教育振興費、
                  青少年訓練費、夏季施設費、學事奬勵費、會報費、總合教育會費、
                  職員練成費、雇傭員訓練費、旅費、國民學校施設諸費、雜費等
  二 會務費 千六百拾八圓
  三 雜支出 五百五拾圓
  四 豫備費 四百六拾九圓
歴代會長   横井 時敬 自大正八年 六月 至昭和二年十一月
       本郷 房太郎 自昭和二年五月 至昭和六年三月
       侯爵 大隈 信常 自昭和六年六月 至現    在
副會長    歴代赤坂區長
幹事(現在) 區役所各課長 區内各小學校長
理事(現在) 十名

(『赤坂区史』)