出版物の没収

芝教學收六七號
昭和二十一年六月十日
                              芝區長 井 出 光 治
 芝浦國民學校長殿
   出版物沒收に關する件
 標記の件に關して都教育局長より別紙の沒收出版物目錄に依り沒收するやう通牒がありましたから左記に依り速かに調査の上目錄扱量記載の書面と共に六月十日必着を期し教育局總務課へ送付せられたし
     記
(一)同一出版物が二部以上ある場合は一部を殘して他を送付すること
 殘された一部は從來通り一般の閱覽に供しても差支へないこと
(二)沒收物一部の場合又は全く無い場合も其の旨報告すること
   沒收出版物目錄(第一回分)
番號書  名著 者 名發行年月日發行所
War and construction
(戰爭と建設)
昭和一八・一二朝日新聞社
戰時新聞讀本平田時次郎〃 一五・一二毎日新聞社
近代海戰〃 一六・一〇
米英挑戰の眞相有田八郎〃 一八・一〇
少年飛行兵讀本陸軍情報部〃 一八・一一
米英の東亞撹亂有田八郎〃 一八・一二
米英の世界侵略堀内謙介〃 一九・ 八
大東亞の建設天羽英二〃 一九・一一
婦人亞細亞(月刊)自昭和一七・一
至〃 一八・九
一〇櫻(月刊)
一一世界大戰再び起るか〃 一〇・ 八東京日々
一二Characteristic of Japanese cultureテイ・モン〃 一九・ 三日本タイムス社
一三The assembly of great East Asiatic Nations大東亞國民大會〃 一九・ 三
一四British Mislead in India
 (印度に於ける英國の壓政)
 〔略]
ラッシュ・ビヘヤー〃 一七・一二
三二進め少年飛行兵相馬基昭和
一六・一・一〇
毎日新聞社
三三聖戰四年陸軍報道部一六・七・ 八
三四必勝國民讀本徳冨精一郎一九・八・ 八
三五米英挑戰の眞相 (英文)有田八郎一八・一二・一五
三六戰時國民教育の實踐鈴木源輔一七・八・二五神田區小川町二ノ二
帝教書房
三七大東亞戰爭祝詞集武田政一一八・九・一〇滝野川區中里町上開文社
三八一九・九・一〇神田區美土代町一
瑞穂出版社
三九日本の陸軍一九・一・三〇小石川區音羽町三ノ二九
四〇日本の海軍講談社
四一榮えゆく満洲國一九・六・一〇
四二日本の航空部隊一九・七・ 五
四三大東亞共同宣言一九・二・一五
四四日本の武將 大東亞の英雄群像一九・一・二五
四五山田長政
 〔略〕
一九・八・一五

 
芝教收第三四七號
昭和二十一年十二月二十日
                           東京都芝區長 井 手 光 治
 國民學校長殿
 青年學校長殿
    出版物沒收について
標記の件について教育局長から左記の通り申越がありましたから前通牒により處理されたい
   記
   沒收出版物目錄(第十回)
番號書  名著者氏名發行年月日發行所
一九〇海軍航空戰記海軍航空本部監修昭和一九、 八、一〇麴町區内幸町二ノ七ノ四
興亞日本社
一九一航空部隊筑紫二郎同 一四、 九、 一時代社
一九二陸軍への道陸軍報道部監修同 一九、一二、一五旺文社
一九三山田長政池田宣政同 一六、 七、 五三省堂
一九四潜水艦戰記平手郎同 一九、 七、三〇朝日新聞社
一九五非常時局下に於ける青少年教育(中卷)關谷龍吉同 一二、一二、 一實業之日本社
一九六同    (下卷)同右同右同右
一九七少年の飛行兵戰記每日新聞社編同 一九、 五、一一每日新聞社
一九八ドイツの若鷲白井喬二
池田林儀
同 一七、 五、二〇田中榮堂
一九九日本的教養石丸梧平同 一六、 六、二九偕成社
二〇〇日本の陸軍中村新太郎同 一九、 二、 一アルス
二〇一これからの日本はどうなるか遠山景久同 二〇、一〇、一〇日本青年建設同盟

 
港芝教學收第六一二號の二
昭和二十二年四月八日
                              東京都港區役所芝支所長
 各小學校長殿
 各青學校長殿
   出版物沒收について
標記のことについて東京都教育局長より聯合軍最高司令部沒收方追加指令に基く通牒が文部省社會教育局長より左記の通り通逹された旨の通知があつたから前通牒により處理されたい。
     記
   沒收出版物目録(第十四回)
番號書  名著者氏名發行年月日
昭和
發行所
二九〇アジアの見識陸軍教授
小林元
一八、 四、二〇赤坂區田町七ノ四
龍吟社
二九一橋口義男一八、一〇、一七神田區駿河台二ノ四
明治書房
二九二支那事變の前途は悲観か樂観か野依秀市一四、 四、 六芝區芝公園内五番地
秀文閣書房
二九三決戰の海匝瑳胤次一九、 六、一九麴町區内幸町大阪ビルー號
新大衆社
二九四太平洋攻防世界第二次大戰石丸藤太 譯 五、 九、二〇日本橋區東京驛東口角
萬里閣書房
二九五世界維新の嵐に立つ中野正剛一七、 四、二〇日本橋區箱崎町四ノ三一
鶴書房
二九六ヒトラー ナチス宣言荒木時次 譯一五、一一、 三神田區西神田一ノ二
報告社
二九七戰雲動く太平洋石丸藤太 八、 五、 六日本橋區呉服樣二ノ五
春秋社
二九八日本の海戰海軍小將
小山武
一七、 一、一二神田區神保町三
アルス社
二九九軍艦旗の下に海野十三一八、一一、二八日本橋區通三ノ六
偕成社
三〇〇青年よ立て―世界時局と大和民族の使命松岡洋右 八、一二、二一四谷區塩町三ノ四九
日本思想研究會印刷部
三〇一軍部の目標三島助治一六、 六、一五四谷區舟町六二
國民政治經濟研究所
三〇二世界再建の道橋本欣五郎一六、 一、三〇神田區神保町一ノ三七
八光社
三〇三日本國民に告ぐ中宋米純 五、一一、二六東京都北豊島郡西巣鴨池袋九五三
瑞景閣書院
三〇四内戰 シンガポール血戰史杉谷馨一七、 九、一〇京橋區銀座二ノ五
芳山房
三〇五放列バタアン砲兵戰記中山冨久一八、 四、二五神田區駿河台三ノ一
育英書院
三〇六世界興廢戰史
 一九三七年
仲小路彰一六、一二、三〇麴町區有楽町一ノ四
戰爭文化研究所
三〇七全勝全和の道山中峯太郎一七、 四、三〇世田谷區池尻町一八九
丸豊堂
三〇八米英撃滅我れ勝てり野依秀市一七、 二、二〇芝區芝公園五番地
秀文閣書房
三〇九祖國進駐小川記正一八、一二、一〇大阪市北區堂島二ノ二五
新正堂
三一〇戰爭挑發責任者フレデリックウイン
大島仙二郎
一八、一二、二〇牛込區津久戸町三一
農山漁村出版社
三一一大陸をのぞむ寺本五郎一九、 三、二〇神田區鍛冶町一ノ一
紀元社
三一二恩寵の流三浦秀一郎一九、 六、 一中野區昭和通三ノ五
收人社
三一三戰のきづな佐藤觀二郎一九、 七、二〇京橋區築地一ノ六
新興亞社
三一四新體制の構想津久井竜雄一五、一一、 七日本橋區本石町三ノ二
東洋經濟新報社
三一五アメリカ獄中より同胞に告ぐ放送局囑託
中澤健
一八、 四、一五麴町區有樂町二ノ四
鱒書房
三一六垂加神道小林健三一七、 七、二〇麴町區内幸町二ノ一二
理想社
三一七仕事の道菅原眞治一九、 九、一〇日本橋區通三ノ六
偕成社
三一八次の戰爭と我海軍村田懋磨 五、 五、二五牛込區高田老杉町七
目白書院
三一九沒落の過程にある黄金國(アメリカ)最近の實情濱田紫山 八、 二、一七四谷區新宿二ノ五四
改進社
三二〇戰爭か平和か日米開戰の動因高瀬五郎一七、 四、二五四谷區番衆町一二七
冨强日本協會
三二一日本國民の現狀を憂ひて國民の覺悟を促がす春休平一五、 八、二〇札幌市南二條西三
三二二國際政治から觀た日支の抗爭田中直吉一二、一一、一〇京都市上京區廣小路東八
立命舘出版社
三二三滿蒙の獨立と世界繼卍字會の活動内田良平 六、一二、一八本郷區駒込上冨土前町一〇九
先進社
三二四亞細亞の火薬庫火を喚ぶ滿蒙三浦悦郎 六、 九、一五    〃
三二五將軍山下泰文伊東峻一郎一七、 七、一五下谷區上野櫻木町一七
高千穂書房
三二六大東亞の肇造武藤眞一一七、 二、二七神田區西神田一ノ九
新生社書店
三二七國家改造論策集警保局保安課 九、一一、二〇芝區琴平町二
重道會出版社
三二八汪兆銘
 日本と携へて
黒根祥作譯一六、一一、二五大阪市北區中ノ島三ノ二
朝日新聞社
三二九日支事變と次に來るもの武藤貞一一七、 二、二七神田區西神田一ノ九
新生社書店
三三〇ナチス闘爭の理念アルタレット・ローゼンベルグ著
千徳茗雄折譯
一五、一一、 五日本橋區呉服橋二ノ三
國協社
三三一永遠の民族ハーマン・ゲーリング原著
高野劉譯
一六、 八、二八神田區三崎町一ノ八
青滋社
三三二航空部隊陸軍航空大尉
筑紫二郎
一四、 八、二三牛込區早稲田鶴卷町三六一
時代社
三三三挑まれた戰爭中西裕彥譯一六、 四、一〇神田區神保町一ノ一四
橘書店
三三四世界戰爭と日本の行動野依秀市一六、 七、二〇芝區芝公園五
秀文閣書房
三三五日本と支那の諸問題長野明一四、 二、二〇澁谷區外原宿一七〇ノ二〇
支那問題研究所
三三六日本興亡夢物語黒澤圭一郎一六、 八、一七四谷區番衆町一二七
日刊軍事通信社
三三七藤田幽谷の人物と思想杉原晃一九、 三、一五神田區佐久間町四ノ三
六合書院
三三八武士道と神道奥田眞啓一四、一二、二〇神田區美土代町一
白揚社
三三九總力戰の性格塚田正之助一六、 二、二三神田區社保町一ノ七
十字屋書店
三四〇斯くありてこそエス・ライフ一六、 八、一五日本橋區茅場町一ノ八
東京かぶと新聞社
三四一星港攻略記筑紫二郎一七、 五、一二牛込區肴町三四
時代社
三四二俗神道大意平田篤胤講
斎藤一寛 編
二〇、一〇、三〇京橋區銀座西七ノ一
日本電報通信社
三四三撃滅の哲學多田憲一一八、 七、二〇本郷區東兩國一ノ一六
東文舘
三四四國防力の整備善布協會編一七、 七、一〇神田區駿河台三ノ一
目黒書社
三四五戰爭と國際問題大倉要一七、 六、一〇神田區小川町一神田ビル
藏王閣
三四六われ等の勝利上田定雄譯一六、 七、二〇神田區小川町二ノ一〇
青年書房
三四七國際聯盟を暴露するその正體と功罪(軍事教育社編輯部) 七、一〇、二五神田區仲神樂町一五
軍事教育社
三四八七洋制覇木村毅一八、 四、一五日本橋區本町三ノ九
博文舘
三四九戰爭と戰爭田中喜四郎一二、一二、 五廣島市宇品町七三四
日本社

(芝浦小学校資料)


 
【付記】連合国最高司令部は、戦時中に発刊された軍国主義、超国家主義的な出版物の没収についての通牒を出した。本資料は、この方針に沿って出された没収出版物目録である。昭和二十一年六月に第一回目の通牒が出され、以後昭和二十二年四月の第十四回まで続いている。ただし、第十五回以後の出版物没収に関する指令は、学校及び図書館等の蔵書には適用されないこととなった。