地方教育行政かわる
この十月一日から、さる六月、第二十四国会で成立した「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の実施によつて、教育委員会制度は大幅な変革をとげることになりました。この新しい法律は、従来の教育委員会制度を改正するとともに、地方公共団体における教育行政の組織、運営に諸種の改善を加えたものであつて、その改正の目的としては、次の二点が強調されています。
第一は、地方公共団体における教育行政と一般行政の調和を進めるとともに、教育の政治的中立と教育行政の安定を確保すること
第二は、国、都道府県、区市町村を一体としての教育行政制度を樹立すること
であつて、以下区政と特に関連の深いこの法律の要点をあげてみると、
委員について
1 教育の政治的中立と教育行政の安定性を確保するために、教育委員の公選制を廃止して、知事、区市町村長が、その地方公共団体の長の被選挙権を有する者のうちから、議会の同意を得て任命することとなつた。(特別区の場合は市長の被選挙権を有するもの)
2 委員の数は都道府県、区市町村を通じ五人であつて、任期は四年とし、最初に任命される新委員については二人が四年、一人が三年、一人が二年、一人が一年とされ、以下毎年一人ずつ委員が更新されるようになつた。
3 委員は、教育行政の中正をはかるため、その在任中、議員や他の委員会の委員、常勤の職員との兼任を禁止されている。
知事、区(市町村)長と委員会の関係
教育行政と一般行政の調和をはかるため、従来教育委員会の権限であつた次の事務の管理執行権を、知事、区長等に移管したこと
イ 教育財産の取得、処分
ロ 教育行政事務に係る各種契約の締結
ハ 教育行政事務執行に係る収入、支出の命令
なお教育予算、条例についての委員会の原案送付権は廃止され、知事、区長は、これら予算その他の議案作成に当り、教育委員会の意見を聴くべきこととされた。
(『港区政ニュース』昭三一・一〇)