(目的)
第一条 この条例は、社会のために有為な人材を育成することを目的とし、港区内に居住し、高等学校に進
学又は在学する生徒で、経済的理由により修学の困難な者に対して、奨学資金(以下「奨学金」とい
う。)を貸付する。
(奨学生の資格)
第二条 奨学金の貸付けを受ける者(以下「奨学生」という。)は、つぎの要件を備えなければならない。
一 独立の生計を営む保護者と同居し、区内に六ヶ月以上居住している者であること。
二 成績が良好で、心身ともに健全であること。
三 経済的理由により進学又は修学が困難であること。
四 都内の高等学校に進学又は在学すること。
五 同種の奨学金を他から受けていないこと。
(奨学金の貸付期間及び金額)
第三条 奨学金は高等学校の正規の修学期間中、月額二千円以内の範囲で、本人の希望および家庭の事情等を
考慮して、区長が定める額とする。
2 前項のほか入学に際して必要とする資金を五千円以内の範囲で貸付けることができる。
(貸付の申請)
第四条 奨学金の貸付けを受けようとする者は、別に定めるところにより貸付申請書を区長に提出しなければ
ならない。
(奨学生の決定)
第五条 前条の申請書の提出があつた場合は、区長は毎年度予算の範囲内において奨学生を決定する。
(保証人)
第六条 奨学金の貸付けを受けようとする者は、別に定める要件を備えた連帯保証人一人をたてなければなら
ない。
(奨学金の停止)
第七条 区長は、奨学金の貸付けを受けている者が第二条の資格要件を欠くに至つた場合は、奨学金の貸付け
を停止することができる。
(奨学金の返還)
第八条 奨学金は貸付期間終了の日の属する月の翌月から起算し一年を経過した後十五年以内において、年賦
又は月賦で区長の定めるところに従い返還しなければならない。
2 前条の規定による貸付けの停止をした場合の奨学金の返還についてもまた前項の例による。たゞし、奨学
金の貸付けを受けた者が奨学金を目的以外に使用したとき、いつわりの申請、その他不正の手続きによつて
貸付けを受けたとき、または返還金の支払を怠つたときは、区長において貸付けた奨学金の全部又は一部に
ついて繰上げ返還を命ずることができる。
3 奨学生であつた者が更に上級学校に進学したときまたは傷病その他正当な理由のために奨学金の返還が困
難な者には願出により相当の期間、その返還を猶予する。
(返還免除)
第九条 奨学生または奨学生であつた者が、奨学金の返還完了前に死亡傷病その他特別の理由のため奨学金の
返還が特に困難な場合は、願出により奨学金の全部または一部の返還を免除することができる。
(奨学金の利息等)
第十条 奨学金の利息は無利子とする。たゞし、期限までに奨学金の返還をしなかつた場合において、正当の
理由がないと認められるときは、百円につき一日二銭の割合で返還期限の翌日から奨学金の返還の日
までの日数によつて計算した違約金を徴収する。
(委任)
第十一条 この条例の施行について、必要な事項は区長が定める。
付 則
この条例は、公布の日から施行する。
(『区議会・議事録』昭三四)
【付記】港区における奨学資金制度は、教育行政施策の一つとして、昭和三十四年度から発足した。進学の意欲を持ちながら経済的な理由から高等学校へ進学できない生徒を対象としたもので、貸付条件としては、成績良好で心身共に健全であることとされていたが、その後、成績良好心身共に健全の条件が外され、経済的条件だけとなった。また、貸付金額については社会情勢や経済情勢を反映しながら増額している。