奨学資金制度の発足

    高校進学生に明るい春
       区に奨学資金制度実施
 今年度から、港区にも高校生への奨学資金制度が設けられました。
 家庭が貧しいために高校進学をあきらめなければならない成績優秀な生徒に、この資金を貸付けて、将来、社会に役立つ人材を育てようというわけです。
 貸付金は、高校在学中毎月二千円以内、このほか入学の際に支度金として五千円以内を全部無利子で、貸付けることができるので、学生一人当りについて、卒業までに七万七千円となります。
 償還については、貸付期間終了後一年間据置いて、十五年以内に年賦または月賦で返済することになつています。
 奨学生の資格は、
一、独立の生計を営む保護者と同居して、区内に六ヶ月以上居住しているもの。
一、成績が良好で、心身健全なもの。
一、経済的理由により、進学または修学が困難なもの。
一、都内の高等学校に進学または在学するもの。
一、他から奨学資金を受けていないもの。
 高校は公立、私立いずれでもよく、また定時制進学者も、貸付の対象となります。
 今年度は、予算の関係で四月一日から実施されるので、奨学生はすでに高校へ進学してしまつた生徒の中から選ばれましたが、昭和三十五年三月卒業以降の奨学生については、二学期ごろに希望者を募集して選抜を終り、三月の入学決定次第、支度金を支出して、この奨学資金制度の効果を最大限に発揮できることになつています。
 選抜の基準は、
一、学業成績が良好であること。
二、学資が家計から全く得られないか、または一部分しか得られないこと。
三、将来善良な社会人として、社会に奉仕し得る資質と教養をそなえていること。
四、健康状態が将来長く修学にたえ、社会に貢献し得る見込みがあること(身体の一部に異状があっても、特
  に修学に支障のない限り差支えない。)
により、この四月一日に発足した奨学資金運営協議会にかけて決定します。
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   奨学資金運営協議会四月一日から発足
 奨学資金制度の円滑な運営をはかるため、港区奨学資金運営協議会が設置され、この四月一日から活動を開始しました。
 この協議会は、奨学生の選考や奨学資金の返還方法等について協議し、その意見を区長に答申するもので、十二人の委員で組織されています。それは
 助役及び教育長
 区議会議員        五名以内
 区内公私立中学校長    三名以内
 学識経験者        二名以内
で、任期二年となつています。
 四月一日、任命された協議会委員は次のとおりです。
 港区助役        根 岸 善 男
 港区教育委員会教育長  吉 田 正 人
 港区議会議員      大 塚   憲
 〃           岡   謙四郎
 〃           窪 田 み つ
 〃           宇賀神 金四郎
 〃           小 寺 為 吉
 港区立北芝中学校長   石 井 広 一
 〃  愛宕中学校長   片 岡   安
 麻布高、中学校長    細 川 潤一郎
 港福祉事務所長     中 川 喜一郎

(『港区政ニュース』昭三四・四)