やすらぎある世界都心・MINATO
21世紀という新しい世紀の下で、港区に住み、働き、学ぶ人、そしてそこに集う人びとにとって、港区への期待は限りなく大きなものとなっています。港区の担う役割が限りなく大きなものであっても、それに応えるだけの可能性に満ちているのが港区です。
(1)港区ならではの特徴
港区は、先進国でいちばん大きな都市圏を持った東京の都心として、歴史的にも、また、都市活動においても、常に我が国の発展と歩みをともにしてきました。
港区には陸・海・空の数多くの交通網が通じています。区内のほとんどの地域が地下鉄駅への10分歩行圏内であることに加え、新設される新幹線・品川駅によって、各地域が直接に全国と結ばれようとしています。また、東京港は国際物流の要となっています。そして羽田空港へはモノレールや鉄道等で結ばれ、成田空港にもつながります。区内のどの地域からも、全世界へ簡単に飛び立てるのです。
このような港区の利点は、港区を他に類を見ないインターナショナルな地域として育てました。60有余の大使館があるだけでなく、国際的にも屈指のビジネスセンターであるとともに、国際的に活躍する人びとのコスモポリタン・ホームタウンとなってきました。港区は、いわば世界の最先端の動きに接している場所であり、しかも港区発の情報が世界に発信されてきました。
このような多様性にすぐれた都市環境を備えていることに加え、港区は、便利さ、快適さ、安全性、さらには行政サービスの水準の高さなどで常に人びとの住みたい地域でありつづけてきました。それが、21世紀という新たな世紀の節目のなかで、ますます重要性を増してきました。
(2)21世紀の課題
21世紀になり、さまざまな課題が課せられています。バブル経済の崩壊以来10年が経ち、経済活力の回復が依然として叫ばれています。環境問題については、人類がいかに自然と共生し、また省資源・省エネルギー型の都市生活を送っていくことができるのかが問われています。技術革新によって生み出されるさまざまな情報化のメリットが都市空間と生活や活動にどれだけ生かされるのか、期待と不安が交錯しています。また、グローバリゼーション※によって、人びとの交流にも国境がなくなってきました。
21世紀が20世紀と大きく異なるのはストックの活用にあると言われています。成熟社会※になると、人口成長が止まり、経済の勢いもなくなってきます。今までのように、造っては壊すというスクラップ・アンド・ビルドという方式が有効でなくなり、今あるものをどう使うか、その工夫に活路を見出すことが必要となります。さらに、成熟社会では、少子高齢化という新しい人口構成が、今までとは異なった社会の運営を求めはじめます。子どもを育む機会と場の創出、高齢者・障害者などの社会参加を実現するノーマライゼーションなど、多様な人びとがそれぞれ主体性をもって行動する相互互恵の発想が不可欠な社会となります。
※ グローバリゼーション(Globalization):情報・通信技術の発達等により、社会経済活動が国境を越えて進展していくこと。
※ 成熟社会:少子・高齢化の進展等により、社会の活力や経済の成長が鈍化する中で、新たな開発よりも、既存のストック(蓄積)を生かしながら多様性ある生活の実現をめざす社会のこと。
(3)港区の将来像の実現
港区の将来にとって、まず重要なことは、新しい社会に対応した新たなコミュニティをどのようにつくっていくかということです。過去の急激な人口減少や少子高齢化を主要因として、既成のコミュニティは活力を失ってきました。しかし、人口が回復してきているなかで、コミュニティの再生を進めるためには、在来の住民だけではなく、新たな住民、外国人などの新しい構成員を加えることも重要です。多様な人びとがいきいきと暮らせる都市のルールをつくり、それを人びとのパートナーシップの下で実現することにより、魅力的で活力のある社会をつくることができます。安全で安心、しかも緑や水辺環境の備わった住環境の下で、業務・商業、文化、そして居住がうまく調和した都心コミュニティを実現します。
さらに、さまざまな企業を地域の中で定着させ、しかも活力を生み出す原動力とするためには、産業行政や都市計画行政の連動が重要です。また、商店街の再生を積極的に支援します。
また、環境問題解決の港区モデルを現実のものとしなければなりません。ウォーターフロントに代表される水辺の再開発・整備や、できるだけ自動車に依存しない、環境に配慮したまちづくりを進めます。
そして、港区がこれからも魅力ある都心区でありつづけるために、子どもや高齢者・障害者への配慮、福祉や保健・医療の充実した社会を実現します。その際、心豊かで健康な社会を築くためには、予防だけでなく、積極的に健康を増進させるためのサービスを推進します。また、生涯学習、あるいは文化資源の活用こそが人びとの生活を豊かにし、人材育成にもつながることを忘れてはいけません。さらには、観光産業を含めたエンターテインメント機能の拡充とともに、港区に散在する歴史的・文化的資源を生かすことによって、これからの地域の活性化を現実のものとします。
21世紀の港区は、まちづくり、産業振興、環境共生、福祉・健康、そして子どもから高齢者・障害者のケアまで、すべてがグローバル・スタンダード※のやすらぎある都心コミュニティ「MINATO」ブランドを全地球に発信するのです。
※ グローバル・スタンダード(Global Standard):国際標準、世界基準。世界に通用する仕組みのこと。港区のグローバル・スタンダードは、都市の多様性や文化の違いを認めつつ、港区特有の文化や街、さらには人々を大切にしていくことです。