◆概要
港区の歴史は、遠く旧石器時代に遡ります。先史時代はもとより、古代、中世に至るまで多くの遺跡が知られています。また、江戸時代には、東海道筋の町人地、多くの寺社地、大名屋敷に代表される武家地など、モザイク状に展開する特色あるまち並みが発達しました。
縄文時代の伊皿子貝塚跡、由緒ある寺社や近代の洋風建築などの文化財とともに、近世から現代にかけての歴史上の事件の舞台となった場所も数多く存在しています。
区では文化財保護条例に基づき、貴重な文化財を指定したり、登録したりするなど、その保存を図るとともに、土地を開発する事業者には埋蔵文化財の保存を呼びかけ、発掘調査に協力を求めています。
先人たちの残した貴重な歴史的・文化的遺産を守り、後世に継承し、新しい文化を創造していくことは、現代に生きる我々の務めです。
郷土資料館では、港区の歴史や文化の情報を資料館講座、親子学習会、特別展、テーマ展等の方法で区民に広くわかりやすく提供するよう努めてきました。また、港区の歴史的・文化的遺産についての専門的・技術的な調査研究に基づく成果については、研究紀要やブックレット、各種の刊行物等にまとめ公開してきました。地域の歴史への関心が高まる中で、内外の関係機関・施設及びボランティアや学習グループ等が行っている郷土史へのさまざまな取組みに対しては、郷土資料館の保有する資源(人材・施設・資料・情報)を積極的に開放し、支援していくことが期待されています。
今後、さらに調査・研究を続けるとともに、文化財を保存・展示する場を充実させ、より一層文化財の収集に力を入れる必要があります。
文化財の調査・研究の公開及び保存・展示の場として、また、区民が独自のテーマで行う学習の場として新郷土資料館を設置します。
区民が誇りに思える郷土意識の育成を図っていくとともに、小・中学校における教育カリキュラムへの支援も進めます。
1 新郷土資料館の設置
貴重な郷土資料の収集・保存を図るとともに、港区の歴史や文化の調査研究を行い、その成果を展示や講座等で公開する場として、また区民が港区の過去を学び現在を考え、そして未来を創造し、活用できる場として新郷土資料館を設置します。
2 郷土資料の調査・研究・収集活動の推進
新郷土資料館のテーマとなる「東京湾とまち(港区)の発展」に沿って、資料の調査・研究・収集活動を進めます。
3 資料のデジタル形式による保存と公開
区内の歴史・文化的遺産に、誰もが容易にかつ楽しく触れることのできるよう、文化財等の資料の画像をデジタル形式で保存し、インターネットを通じて公開していきます。
4 民俗芸能及び伝統工芸の保存手法の検討
長い歴史の中で伝えられてきている民俗芸能・伝統工芸が後世に受け継がれていくよう関係機関や地域住民とも共同し、記録の作成等保存手法を検討します。
5 文化財保護思想の普及・啓発活動の推進
区民共有の貴重な財産である文化財に対する保護思想の普及・啓発活動を推進します。
6 「港区ゆかりの人物」データベースの拡充
政治や実業の世界、ならびに文化、芸術の世界で活躍した人物の足跡をホームページ等で紹介する「港区ゆかりの人物」関連データベースの拡充を図り、地域への愛着を深め、郷土史への関心を高めます。
7 学校との連携強化
資料の貸出事業や出張講座等をとおして学校との連携を深め、郷土意識の育成を目的とする教育カリキュラムを支援します。
8 郷土史を研究している人材やNPO等の活用による学習サービスの拡充
郷土史を学び、研究をしている区民やNPO等を講師に招き、地域の歴史や文化を学ぶ機会を設け、区民に対する学習サービスの拡充を図ります。