学校教育

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◆「基本姿勢」
 
1.区民に信頼される学校
2.区民とともにある学校
3.子どもたちが誇れる学校
 
 ひとは、生まれてから一生涯にわたり、あらゆる場で学ぶことを続けています。
 その中でも、幼稚園、小学校、中学校を中心とする学校教育は、人間形成の礎となる極めて重要な役割を担っており、保護者、地域の期待も大きなものになります。
 区民に信頼され、区民とともにあり、子どもたちが誇れる学校を教育委員会は学校教育の基本姿勢としています。
 
◆国の最近の動向
 
 平成20年3月に学校の教育課程の基準となる学習指導要領が全面改訂され、小学校では平成23年4月から完全実施しています。また中学校においても平成24年4月から完全実施されます。
 
 平成20年7月に、国の教育に関する計画としては初めてとなる「教育振興基本計画」が策定され、今後10年間を通して目指すべき教育の姿が示されましたが、平成23年6月の中央教育審議会においては、現行計画の進ちょく状況が報告されています。この中では、平成23年度からの小学校1年生の学級編制基準の引下げ(35人学級)や、教育の機会均等の確保からの高校授業料実質無料化、東日本大震災の発生を受けての学校施設の耐震化の早期推進の重要性等が述べられています。
 また、教育振興基本計画が策定されてからこの間、少子高齢化、グローバル化、金融危機、東日本大震災等の社会情勢の急激な変化も踏まえ、第2期教育振興基本計画の策定についての諮問、審議が行われています。
 
◆東京都の最近の動向
 
 平成20年5月に、東京都教育ビジョン(第二次)が策定され、東京都が目指すこれからの教育の大きな柱として「社会全体で子供の教育に取り組むこと」「生きる力をはぐくむ教育を推進すること」が掲げられ、今後5年間に取り組むべき重点施策・推進計画も示されています。
 このビジョンに基づき、平成23年度の教育庁主要施策としては、「小学校との連続性を踏まえた就学前教育の充実」「小1問題・中1ギャップの予防・解決のための教員加配」「東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣調査の実施」「教職員へのメンタルヘルス対策としてのストレス検査の実施」等の具体的な手立てが講じられています。
 
 また、これら主要施策を進めていく上で必要となる、教職員の定数増をはじめ地方公共団体に対する財源措置などについても、国への働きかけを継続しています。
 
◆東日本大震災を踏まえた取組と自然災害への今後の対応
 
 東日本大震災に際しては、下校時間帯に発生したこと、通信や交通手段が一時途絶したことなどにより、学校との連絡や情報収集体制などの困難な課題が生じました。
 
 各幼稚園、小・中学校では防災計画や危機管理マニュアルを策定しており、これらに基づき、定期的に避難訓練や幼児・児童の引取り訓練等を実施しています。今後、この貴重な教訓をもとに、各学校における防災計画や危機管理マニュアルの見直しはもとより、教職員への防災に関わる研修や幼児・児童・生徒への防災教育の定期的な実施及び充実を図るなど、学校と教育委員会が連携した危機管理体制の再構築について、区の地域防災計画と整合性を図りながら検討していきます。
 
 また、区立中学校では、平成23年度から地域等で実施する防災訓練を授業に位置付け、中学生一人ひとりが地域の一員であるという自覚のもと訓練に参加するなど、中学生が主体的に地域防災に携わることをめざします。さらに、学校が避難所となることから、地域防災協議会や関係機関と調整しながら、災害時に避難所運営に携わる中学生による「防災ジュニアチーム」を立ち上げます。
 
 区では、震災対応として、各幼稚園、小・中学校に折りたたみ式ヘルメットの新たな配布を実施したほか、放射能問題への対応として、保護者の不安を払しょくするため、区独自で大気、土壌の放射線量の測定と情報収集及び情報提供を実施しています。また、在園・在校時以外での被災における幼児・児童・生徒、保護者、教職員の安否確認の手順と方法、学校のホームページで情報を公開する体制整備、緊急メール配信システムの機能拡充など、今後も引き続き、正確かつ迅速な情報提供に努め、各幼稚園、小・中学校における子どもの安全・安心について対応していきます。
 
◆就学年齢人口の推移と今後の見通し
 
 平成23年3月の「港区人口推計結果」によると、港区の今後3年間の年少人口は、平成25年にピークを迎える0~2歳層を除いては、各年齢層とも増加の傾向が推計されています。
 平成23年と比較した平成27年1月の推計人口では、ピークを迎えた0~2歳層では2.0%の増となっています。また、3~5歳層では21.4%の増、小学校就学年齢の6~11歳層では17.0%の増、中学校就学年齢12~14歳では8.9%の増と、各年齢層で大幅な人口増加が推計されています。
 平成30年1月の推計人口では、平成23年と比較して、0~2歳層で0.1%の減、3~5歳層21.0%増、6~11歳層35.1%増、12~14歳層17.3%増となっています。3~5歳層でも平成28年にピークを迎え、以降減に転じますが、小学校、中学校の就学年齢の人口は、引き続き増加傾向にあります。

港区年少年齢人口推計

 今後6年間では就学前幼児教育、保育サービスが必要とされるとともに、小学校、中学校教育の大幅な需要増が見込まれるという推計になっています。
 
◆港区の就学率の推移と今後の見通し
 
区立小学校
 区立小学校全体の就学状況は、在籍者数を住民登録人口で割って出した区立小学校の就学率が、平成20年度以降では80%前後で推移しています。小学校就学年齢人口は増加傾向にありましたが、更なる大幅な増加が推計されており、在籍者数についても大きな伸びが見込まれます。

港区立小学校就学状況

区立中学校
 区立中学校全体の就学状況は、しばらく就学率の減少傾向が続いていましたが、ここ数年は50%程度での横ばいで推移しています。一方、在校生徒数については、近年の年少人口の増加に伴い増加傾向にあり、これまでと同様の就学率として推計した場合においても、今後数年間は在籍者数の増が見込まれます。

港区立中学校就学状況

◆保護者アンケート調査結果
 
 平成23年5月から6月にかけて、満2歳児、満4歳児、満10歳児、満12歳児の保護者を対象として、「魅力ある区立学校づくりのためのアンケート調査」を実施しました。アンケート調査では、幼稚園、小・中学校への就学意向とその理由、小・中学校において今後充実を希望する教育施策などの調査を行い、調査対象の各年齢で、50%を超える回答がありました。
 
区立小学校において今後充実を希望する施策
 満2歳児、満4歳児の保護者を対象にして、区立小学校において今後充実を希望する施策について、「教育振興プラン(平成21年度~平成23年度)」に計上した事業を中心に「34項目(※)の中から5項目までの選択」という形式で調査を行いました。回答比率の大きかった項目は、次のグラフのとおりです。

(※)34項目の施策


区立小学校において今後充実を希望する施策(2歳・4歳児の保護者)

区立中学校において今後充実を希望する施策
 満10歳児、満12歳児の保護者を対象にして、区立中学校において今後充実を希望する施策について、「教育振興プラン(平成21年度~平成23年度)」に計上した事業を中心に「34項目(※小学校と同じ)の中から5項目までの選択」という形式で調査を行いました。回答比率の大きかった項目は、次のグラフのとおりです。

区立中学校において今後充実を希望する施策(10歳・12歳児の保護者)

◆今後の方向
 
 区内の年少年齢人口は今後7年間では、引き続き大幅な増加が推計されています。未就学年齢層(0歳~5歳)については、増加の傾向が終わり、横ばいから微減に向かうと推計されていますが、人口が多い状態が続きます。こうした子どもたちが入学してくることから、特に小学校の就学年齢人口(6歳~11歳)の伸びが大きくなっており、引き続き、施設整備をはじめとする受け入れ態勢を整えるとともに、教育環境を整備していく必要があります。
 その一方で、区立学校の魅力づくりを進めて活性化を図り、特に中学校の就学率を上げていくことに、教育委員会全体で取り組まなければなりません。
 
 保護者アンケート調査結果では、国際化社会に対応した英語教育やコミュニケーション能力の育成や、個々の児童・生徒に応じた指導の充実が、小学校、中学校ともに最も求められています。研修を充実させて、教員全体の資質・能力の向上を図ることも引き続き期待されており、魅力ある学校づくりに向けて学校をバックアップしていく施策を展開していきます。
 
 さらに学習指導要領の全面改訂・完全実施を受け、文部科学省が示している授業時数や学習内容が適切に履修されるよう、各校に指導・助言するとともに、履修状況を適宜把握します。
 また、本区教育委員会の重要施策である「小中一貫教育の推進」「エコスクール計画の推進」「3年保育の拡大」「校舎・園舎等の改築等整備」「新教育センターの整備」を一層推進します。
 各幼稚園、小・中学校はそれぞれの地域の特性に応じた質の高い教育課程を編成し、一人ひとりの子どものもっている可能性を最大限に伸ばす教育を実施していきます。