はじめに

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 読書は、子どものことばを豊かにし、表現する力を高め、さらに想像力を豊かにします。また、読書は、子どもの心の糧となり、将来の人生をより良く生きる力となります。昨年3月の東日本大震災では、地域や学校の図書館が大きな被害を受け、被災地の子どもたちの読書環境にも大きな影響を及ぼしました。そのような中、全国からの温かな支援によりたくさんの本が届けられ、被災地の子どもたちにとって読書は未来への力となりました。子どもの健やかな成長とより良い人生のために、本との出会いはとても大切なものです。
 国は、「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づき、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画(第2次)」を平成20年に策定し、東京都もそれに順じて計画を策定しています。
 港区においては、平成18年3月に「港区子ども読書活動推進計画」を策定し、健やかな子どもの「育ち」を支える読書環境整備を進めてきました。
 その結果、学校図書館の充実等により、全国学力・学習状況調査では港区の小学生、中学生ともに東京都や全国と比較して多く読書をするという結果が明らかになりました。また、区立図書館と小中学校により、子どもの読書活動推進のための情報共有や人材育成支援を行なう学校図書館関係者連絡会を開催するなど新たな連携体制も構築されつつあります。
 一方で、国際化が進み、情報メディアが多様化した社会の中で、子どもたちに今後どのような読書環境を整備するかは極めて重要な課題です。
 今回、第1次計画策定から6年が経過したのを機に、子どもの読書環境をなお一層充実するため、前期計画を検証し、時代の変化を踏まえ、「港区子ども読書活動推進計画(第2次)」を策定いたしました。
 策定にあたっては、平成23年7月に港区子ども読書活動推進計画(第2次)(以下「第2次計画」という)策定検討部会を設置し、数次にわたる検討を経て完成に至りました。
 第2次計画は、施策の実施主体を「図書館」及び「学校・幼稚園・保育園」とし、この2つの実施主体ごとに施策を整理・体系化しました。また、新たに取り組む施策と、重点とする施策を明確化しました。
 今後、本計画に基づき、図書館活動の充実、子どもや保護者などへの読書活動啓発の推進、地域の中の連携の充実、施設や資料の充実、人材の育成、学校等におけるさまざまな取組みにより、子どもの読書環境をより充実し、明日を担う子どもの豊かな心を育んでまいります。
 子どもの読書環境の整備の充実のためには、ボランティアをはじめとした区民の方々や、関係機関のご協力が不可欠です。皆様の積極的な関わりを期待いたします。
 結びに、この計画を策定するにあたり、検討部会の皆様をはじめ、アンケート調査にご協力いただいた小中学生とその保護者のみなさま、パブリックコメントで貴重なご意見をいただきました区民のみなさまに心より感謝申し上げます。
 
平成24年3月
港区教育委員会 
教育長 髙橋良祐