スポーツ実施状況 《働き盛り世代でスポーツ実施率の低さがめだつ》
港区「スポーツ振興に関するアンケート調査」(平成22年度)では、8割近くの区民が、運動不足を「感じている」あるいは「ある程度感じている」と回答しています。特に、男性の30歳代~50歳代、女性の20歳代~40歳代及び60歳代で、運動不足と感じている傾向が強くなっています。
図表5 運動不足を感じるか
区全体の成人の週1回以上のスポーツ実施率は43.8%であり、全国平均(45.3%(H21))と、ほぼ同じ割合となっています。
また、「この一年間に何らかの運動やスポーツを行った人」の運動頻度を見ると、高齢者層で実施率が高いこと、若年層では男性の方が、高齢層では女性の方が実施率が高いこと、最も実施率が低いのは男性の50歳代であることなどが分かります。
図表6 運動やスポーツ実施頻度(運動実施者のみ)
一年間に行った運動やスポーツで回答が多かった種目は、散歩(ぶらぶら歩き)、ウォーキング、水泳、筋力トレーニングなどであり、身近な場所で気軽に行える種目、健康・体力づくりに適した種目が上位となっています。
全国・東京都とのスポーツ実施率の比較
全国平均(H21) 45.3%
東京都平均(H21)43.4%
国の目標値(スポーツ立国戦略(H22)より)
できるかぎり早期に、成人の週1回以上スポーツ実施率が3人に2人(65%程度)、成人の週3回以上のスポーツ実施率が3人に1人(30%程度)となることをめざす。
(2)子どものスポーツ
子どもの体力・運動能力 《近年体力は向上傾向、運動能力の格差が問題視》
文部科学省が行っている「体力・運動能力調査」によると、子どもの体力・運動能力は、近年回復傾向にあり、体力向上の取組が一定の成果を挙げていることが報告されています。一方で、子どもの体力のピークとされる昭和60年頃と比べると依然として低い水準であることや、体力が高い子どもと低い子どもとの差の拡大などが問題視されています。
平成22年度に実施された体力テストの結果、区内の小学生では、概ね全国平均を上回る結果であった一方で、中学生では、男女ともに、ほとんどの種目において、区の平均が全国平均を下回る傾向が見られました。
図表7 体力テスト結果
子どものスポーツや外遊びの環境 《子どもが体を動かしたくなる場の充実》
港区「スポーツ振興に関するアンケート調査」では、現在の子どものスポーツや外遊びの環境について、「悪い」「どちらかといえば悪い」の合計が、過半数を占めています。
図表8 子どものスポーツや外遊びの環境
また、子どものスポーツや外遊びの環境の充実のために力を入れるべきこととしては、「子どもが体を動かしたくなる場の充実(校庭芝生化など)」が最も多く、ついで、「学校の体育施設の有効活用」、「子どもが気軽に活動できる地域のスポーツクラブなどの充実」となっています。
図表9 環境充実のために力を入れるべきこと
校庭の芝生化(人工芝・天然芝を含む)の現状を見ると、一部芝生化を含み区立小学校では19校中9校が、区立中学校では10校中8校が校庭を芝生化しています。
図表10 校庭芝生化の現状(平成23年度現在)
(3)高齢者のスポーツ
高齢者のスポーツの状況 《高齢者の健康づくり、仲間づくりのために》
21世紀に入り本格的な超高齢社会に突入し、港区においても、今後、急速な高齢化の進行が予測されています。高齢者の健康保持、増進に加え、いきがいづくりや地域のコミュニティの活性化のために、高齢者のスポーツの一層の推進が求められています。
港区「スポーツ振興に関するアンケート調査」によると、高齢者が運動やスポーツを行う理由は、「健康維持・体力の向上」が最も多く、ついで「運動不足の解消」となっています。また、「友人・仲間との交流」が上位であることが、高齢者の特徴となっています。
図表11 運動やスポーツを行う理由(60歳以上)
高齢者のスポーツ実施頻度を見ると、60歳代では、男女とも週1回以上の実施率が50%を超えています。70歳以上になると、行っていない人の割合が増加します。
図表12 運動やスポーツの実施頻度(60歳以上)
また、同調査によると、一年間に行った運動やスポーツは、全体では、散歩(ぶらぶら歩き)、ウォーキング、体操・ラジオ体操などが上位になりますが、70歳以上では、比較的強度の運動である筋力トレーニングや水泳、自転車などの割合が減少する傾向がみられます。
(4)障害者のスポーツ
障害者のスポーツの状況 《障害者が気軽にスポーツができる環境の充実》
平成23年に施行された「スポーツ基本法」では、新たに「障害者スポーツ」の振興が、国のスポーツ振興に関わる政策の一つとして位置づけられました。基本法では、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利である」とうたわれています。ノーマライゼーションの考え方に沿った、誰もがスポーツを楽しめる環境づくりが、あらためて重視されるようになったといえます。
障害者のスポーツの推進においては、障害者にスポーツを教えることができる指導者の不足、障害者がスポーツを行うことのできる施設の不足という根本的な課題があり、障害者が気軽にスポーツを楽しめない実態があります。東京都社会福祉基礎調査「障害者の生活実態」(H20)によると、趣味、学習、スポーツ、社会活動等について、2割前後の障害者が「活動したいと思うができない」と回答しています。
図表13 学習・スポーツ・社会活動への参加状況(東京都)