(1)誰もがスポーツを楽しむために
スポーツ実施率の低い層や高齢者・障害者など、区のスポーツ推進において、重点的に啓発を進め、取組を進めていくべき対象を整理します。
【主要課題① 実施率向上に向けた啓発、きっかけづくり】
○子育て、働き盛り世代など、スポーツ実施率が低い層を重点としたスポーツの啓発、きっかけづくり
港区民のスポーツの実施状況をみると、働き盛り世代や子育て世代にあたる男性の50歳代、女性の20歳代~40歳代でスポーツ実施率が低くなっています。また、健康・体力づくりに関する教室やイベントなどにおいても、この年代の参加者が少ないという意見が挙げられています。
一方、生活習慣病予防などの面からは、30~40代の若い頃から習慣的にスポーツを行うことが非常に重要です。今後は、子育て層、働き盛り世代を重点としたスポーツの啓発や、きっかけづくりとなる教室の開催やプログラムの提供をすることにより、誰もが、生涯にわたってスポーツに親しむことのできる機会を創出していくことが必要です。
【主要課題② 子どものスポーツ活動の推進】
○子どもたちが地域でスポーツを楽しめる環境づくり(人材・場・機会の充実)
全国的に低下傾向が続いていた子どもの体力・運動能力は近年ゆるやかに改善しつつあるとは言え、運動やスポーツをする子としない子の体力格差は拡大する一方です。これは、ライフスタイルの変化やテレビゲームなどの普及により、子どもが外で遊ぶことが少なくなったことが大きな原因と考えられています。
このようなことから、子どもたちが、外で遊びたくなるような仕掛けづくり、地域の中でスポーツを楽しめる環境づくり、子どもたちに適切な指導ができる指導者の育成などが求められます。また、小・中学校の体育の授業や課外活動などを通して、スポーツへの関心を高めるとともに、体力・運動能力の向上の取組も必要とされます。
【主要課題③ 高齢者・障害者スポーツの推進】
○高齢者や障害者も気軽にスポーツができる環境づくり(ニュースポーツの開発・普及、指導者の配置、施設の整備)
港区民のスポーツの実施状況をみると、高齢者の週1回スポーツ実施率は、60歳代では50%を超えていますが、70歳を超えると、全身運動を伴うスポーツが困難になるため、急激に低下し、全く行っていない人の割合が増加しています。
高齢者の中には、老人クラブなどで行われるスポーツを通したコミュニケーション、仲間との交流を楽しみにしている人も多く、全身運動が難しい人でも楽しめるようなスポーツの普及が期待されています。
障害者のスポーツについては、これまで、施設のバリアフリー化や指導者の配置などが不十分であり、障害者が1人で施設に行って、利用できるような環境が整っていないといった意見が挙げられています。
今後は、障害者がスポーツ活動をしたいと思ったときに、気軽にスポーツが楽しめるよう、スポーツ施設のバリアフリー化、定期的なプログラムの提供、障害者スポーツの専門的知識を持った指導者の配置などが必要です。
(2)スポーツのまちをはぐくむために
誰もが気軽にスポーツができる環境づくりに向けて、スポーツを支える人材の育成や、施設の整備・充実、情報発信など、重点的に環境を整備していくべき取組を整理します。
【主要課題④ 団体・指導者・ボランティアの支援】
○総合型地域スポーツ・文化クラブの認知度の向上、活動支援
○スポーツ指導者の育成と活用機会の拡充
区民のスポーツ団体への加入状況を、国や都と比べると、民間のスポーツクラブが多く、地域のクラブ等は低くなっています。民間のスポーツクラブは個人で加入、活動するタイプが多いため、スポーツを通じた交流、仲間づくりなどを推進するためには、地域のクラブや同好会の活動促進が重要であるといえます。
港区には、地域住民が主体となって運営する総合型地域スポーツ・文化クラブとして、六本木地域を中心に「スポーカル六本木」が活動しており、他地区においても現在、同様のクラブの立上げに向けた検討が進められています。しかし、区全体では、総合型地域スポーツ・文化クラブの認知度は低く、地域への浸透度は不十分といえます。
次に、区のスポーツ推進にあたり、その重要性が指摘されているのが、適切な指導者の育成、配置についてです。例えば、運動が苦手な子どもたちへの体の動かし方やスポーツの楽しみ方の指導、高齢者や障害者などの運動能力や体力の状況に合ったスポーツの指導など、それぞれの場面や方向性に応じた適切な指導ができるスポーツ指導者の育成が求められています。また、それらの指導者をマネジメントし、必要な所に紹介できる人材も必要とされています。
また、「支える」スポーツとしては、スポーツ大会やイベントの開催支援のボランティアなど、スポーツボランティアの参加拡大も重要です。今後ボランティア活動を行いたいと思っている区民が、気軽に参加できる体制づくりや、活動情報の発信などが必要となります。
【主要課題⑤ スポーツ施設の整備・充実】
○スポーツセンターの再整備
○身近に利用できる施設の充実、運用方法の改善
港区民のスポーツ施策に関するニーズとしては、「スポーツ施設の整備、充実」への要望が最も高くなっています。区内の主要なスポーツ施設であるスポーツセンターは、老朽化のため改築の計画が進んでいます。
区内のスポーツ施設や小・中学校の学校施設の利用状況を見ると、小・中学校の学校施設の利用が多くなっており、地域で身近に利用できる施設の重要性が高まっています。
施設によっては予約が取りにくい状況もあり、今後は、利用ニーズに合わせた施設開放、運用方法の改善などが求められています。
【主要課題⑥ 情報提供・発信の工夫・充実】
○施設の利用案内・プログラムの情報の効果的な提供方法の検討
現在、区で行われているスポーツ関連及び健康増進関連の事業については、魅力的なプログラムについて発信する方法を工夫する必要性が求められています。
例えば、健康推進課が平成22年に作成した区内のウォーキングマップを、スポーツの推進や観光振興などの観点からもPRするなど、取組の情報発信、宣伝を相互に連携しながら、幅広く進めることが考えられます。
【主要課題⑦ スポーツを通じたまちづくりの推進】
○港区の特性を生かしたスポーツ振興による、まちの活力創出、イメージアップ
港区は東京の都心に位置する国際的なビジネスシティである一方で、運河やお台場などの水辺空間も有するまちです。
区では、このような特徴を生かして、お台場マラソン大会などの事業を実施するとともに、タグラグビーの推進など、区の特性を生かしたスポーツ事業を展開しています。
近年、スポーツイベントが多くの参加者を集め、開催地の知名度やイメージアップなどに寄与している事例も見られることから、スポーツの盛んなまち港区としてのイメージを定着させ、スポーツを通じた活性化やイメージアップを図るため、今後も、港区ならではのスポーツのプロモーション方法を工夫し、発信していくことが必要です。