現在、日本語指導を必要としている児童・生徒に対して、滞在期間や日本語習得状況等を考慮し、日本語適応指導員※14の派遣等による個別指導を展開しています。また、東町小学校に開設した国際学級※15では、日本人・外国人双方の児童にとって充実した国際理解教育を推進しています。多様な文化や価値観に触れる機会の創出など先駆的な取組の成果により、新入学・転入学希望者数が増加傾向にあります。
一方、「国際科・英語科国際についての意識調査」によると、外国人(英語話者と限定:以下同じ)と英語で話し交流したいという意欲は高いものの、積極的に英語で話しかけるなど、自分の思いを表現するための英語の力に自信をもっている生徒は少ない傾向にあります。
今後、「国際科」「英語科国際」、小中学生海外派遣等の効果検証を行い、港区の国際人育成事業の一層の充実を図る必要があります。また、日本語指導が必要な児童・生徒への支援方法の改善や、外国人児童の英語による学習支援を行うための国際学級の運営のあり方の見直しが課題となっています。
コミュニケーション能力※16の向上にかかわって、とりわけ中学校では、外国人へ話しかける機会を多く設定するとともに、話してみたいという意欲をさらに引き出す指導の工夫・充実が求められています。自分の思いや考えを自ら発信し、外国人と意見を交換できるようになることが大きな課題です。
外国籍の幼児や異なる文化的背景をもつ幼児が、全区立幼稚園に在籍しています。言葉による意思疎通や、幼稚園生活におけるきまりや約束等の理解が十分でない場合があり、各園で個別の配慮をしています。外国籍の幼児も保護者も、安心して幼稚園生活が送れるよう、外国語が通じるスタッフを配置するなど、外国人に対するサポート体制の構築が必要となっています。
<現状>
○小学校での「国際科」、中学校での「英語科国際」、小・中学生の海外派遣、異文化体験授業等を実施している。
○日本語指導が必要な児童・生徒に対して個別指導を行っている。
○国際学級の新入・転入希望者数が増加している。
○外国人と英語で話したいという意欲は高いが、積極的に話しかけるなど、英語の力に自信をもっている生徒が少ない傾向にある。
○外国籍または異なる文化的背景をもつ幼児・保護者が、幼稚園生活における意思疎通や、きまりや約束の理解が十分でない場合がある。
<課題>
○「国際科」、「英語科国際」、海外派遣等これまでの取組の効果検証を行い、一層の充実を図ることが必要。
○日本語指導の支援方法の改善、国際学級の運営のあり方の見直しが必要。
○自ら積極的に外国人とコミュニケーションを取る意欲、自分の考えを発信し、外国人と意見交換できる能力の育成が重要。
○外国籍または異なる文化的背景をもつ幼児・保護者が、安心して幼稚園生活が送れるよう、外国語が通じるスタッフの配置など、外国人に対するサポート体制の構築が必要。
港区立中学校3学年を対象とした英語科国際についての意識調査
※12 国際科:国際理解教育の一環として区立小学校で平成14年度から実施している英語活動。平成18年度からは小学校8校で、平成19年度からは全19校で教育課程に「国際科」を位置付けるとともに、外国人講師(NT:ネイティブ・ティーチャー)を各校に配置し、英語による実践的コミュニケーション能力の基礎を培っている。
※13 英語科国際:区立中学校において平成18年度から週1時間実施している、英語によるコミュニケーション能力の向上を目的とした教育。国際科、英語科国際いずれもコミュニケーション能力の育成にとどまらず、発達段階に応じて段階的に自国や他国の伝統や文化等についても学び、国際理解教育の充実を図っている。
※14 日本語適応指導員:帰国児童・生徒や外国籍の児童・生徒が日本の生活や授業に適応できるよう、基本的に児童・生徒の母語を用いながら日本語の指導を行う者。
※15 国際学級:外国籍児童が日本人児童と同じ教室で学び、多様な文化や価値観に触れる中で国際理解教育を展開する学級。学習指導要領に基づいたカリキュラムを作成し、英語による授業を導入・展開している。日本語の教科書を英訳したテキストの使用により、充実した教育を行っている。
※16 コミュニケーション能力:身に付けた英語力・語彙力を駆使して、自分の思いや考えを表現し、相手と意見交換できる能力。