施策(1)豊かな心の育成

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 子どもの規範意識や倫理観の低下が大きな課題となっています。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等を使ったインターネット上でのいじめや誹謗中傷など、情報通信技術の進展とともに、いじめの質が変化しており、発見や対応の難しさが指摘されています。
 港区教育ビジョンの示す「徳」「知」「体」を育む学びを踏まえて、「徳」の育成を最も重要な教育のひとつと捉え、差別や偏見を許さない意識と行動力を身に付ける人権教育や、思いやりや他者との絆を大切にする心の育成、協調性や助け合う心の育成などの道徳教育を推進し、子どもたちの豊かな心を育みます。
 また、オリンピック憲章にある「オリンピック精神は、友情、連携そしてフェアプレーに基づく、相互理解が必須である」を踏まえ、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、平和に関する教育や相互理解教育、ボランティア精神の育成などに取り組みます。
 
1-(1)-①人権教育の推進
【目指す子ども像】
○人権の意義・内容や重要性について理解し、自分の大切さとともに他者の大切さを認めることができる子ども
【取組内容】
○幼稚園、小・中学校で、全体計画及び年間指導計画に基づいた人権教育を推進します。
○教員の人権教育に関する資質向上を目指し、教育活動全体を通じて、幼児・児童・生徒に適切な指導ができるよう、人権教育研修会や職層に応じた研修を実施します。
○子どもの人権を尊重し、誰もがいじめ問題の重大性を認識し、いじめの兆候をいち早く把握して迅速に対応するため、港区いじめ防止基本方針及び条例に基づく「港区いじめ問題対策連絡協議会」等の関連組織を設置し、いじめ防止のための対策を総合的かつ効果的に推進します。
【期待される成果】
○発達段階に応じて人権教育を推進することにより、様々な場面で人権が尊重される社会づくりに向けて行動できる子どもの育成が期待できます。
 
1-(1)-②道徳教育の推進

 

1-(1)-③読書活動の推進
【目指す子ども像】
○本に親しみ、読書を通じて知的好奇心を高め、物事を深く考えることができる子ども
【取組内容】
○本を身近に感じる環境づくりを推進するため、各小・中学校にリーディング・アドバイザリー・スタッフ※19(RAS)を週5日配置し、学校図書館担当教諭や区立図書館との連携を支援します。
○読み聞かせやブックトーク、読書週間の設定など、多様な本に触れる機会の創出等により、読書に対する関心・意欲を高め、幼児・児童・生徒の読書活動を支援します。
○RASの配置人数の見直しや研修の充実、RAS同士の情報交換の機会の拡充、教員との連携の強化など、RASの専門性の向上を図り、児童・生徒の学習活動、教員の研究等を支援します。
【期待される成果】
○読書冊数が増え、幼児・児童・生徒の主体的な読書活動の推進につながることが期待できます。
 
関連計画:港区子ども読書活動推進計画
●教諭やRASなどを対象とした研修会の実施
学校図書館に関わる人材育成を図るため、教諭やRASなどを対象とした研修を行います。学校図書館の運営やシステムの操作などの研修を行うことで、学校図書館関係者の質の向上につなげ、子どもたちの読書活動を支援します。
●教諭やRASなどの情報交換の場の提供
各小・中学校において学校図書館の運営や読書活動、調べ学習の支援などの取組の中で得られた知見や技術の学校間共有ができるよう、教諭やRASの情報交換の場の提供と情報のフィードバックを行います。
●調べ学習の支援・促進【重点事業】
教諭やRASなど学校図書館関係者を対象に、区立図書館が定期的に行っている連絡会は、区立図書館からの情報提供と学校間の情報共有の場として継続します。
区立図書館は学校図書館と連携し、資料を使って調べる方法を学ぶ機会や、調べ学習のコンクールへの参加を促進します。同時に教育委員会は、教諭やRASなど、学校図書館関係者を対象に、子どもの調べ学習支援に関する研修会を実施します。
●授業カリキュラムに応じた支援の実施
授業の理解を助け、子どもの想像力や学習意欲を高めるため、RASによるレファレンスなどを通じ、教諭が授業で使用する資料の整備や、授業での学校図書館の活用を進めます。教諭とRASは互いに連携を強め、情報共有を行います。
●学校図書館支援機能の強化【新規事業・重点事業】
学校図書館支援センターを教育委員会内に設置することを検討し、学校図書館の活動支援と利活用を進め、学校における子どもの読書活動を推進します。
学校図書館訪問、学校図書館活動の現状把握、必要な助言・支援を行います。学校図書館運営上必要な実務に関して、教諭やRASの個別相談に対応し研修を行います。
●区立図書館職員を含めた情報共有の充実
各学校の司書教諭やRASが日常の取組の報告や意見交換、情報提供の場となる学校図書館関係者連絡会(平成26年度年延べ12回)を行い、学校における課題や学校図書館運営に関わる専門知識や技術の共有を図ることで、区全体の取組の質を向上させます。
区立図書館の事業や取組、図書資料の情報を提供し、団体貸出により学校における子どもの読書活動を推進します。
 
1-(1)-④芸術鑑賞機会の充実
【目指す子ども像】
○様々な対象・事象から、よさや美しさなどの価値や心情を感じ取ることのできる子ども
【取組内容】
○幼児・児童・生徒が質の高い演奏や舞台芸術を鑑賞する機会を充実します。
○幼児・児童・生徒が身近に芸術や文化に触れ、実際に体験し、その楽しさや喜びを感じることができる機会を充実します。
○幼児・児童・生徒の発達段階に合わせてテーマを設定し、大学や企業等との連携により、様々な観点から子どもの感性と情操を育む教育を推進します。
【期待される成果】
○子どもが美しいものや優れたものに触れることにより、豊かな感性と情操を育むことが期待できます。
 
1-(1)-⑤心のケアの充実
【目指す子ども像】
○将来の夢や希望をもって、前向きに生きていこうとする子ども
【取組内容】
○長期にわたって学校を欠席している児童・生徒、不登校傾向の児童・生徒への支援体制の充実を図るため、スクールカウンセラー※20やスクールソーシャルワーカー※21、適応指導教室(つばさ教室)※22、関係機関等との連携を図ります。
【期待される成果】
○不登校児童・生徒の出現率の低下が期待できます。
 
1-(1)-⑥相談体制の充実
【目指す子ども像】
○友人や家族等とよりよい人間関係を築き、自ら課題に取り組むことができる子ども
【取組内容】
○子どもたちの悩みや不安の解消のため、幼稚園、小・中学校でのスクールカウンセラーによる教育相談や教育センター相談員による相談体制の整備を推進します。
○子ども家庭支援センター等の関係機関と連携し、児童虐待や不登校、非行などの問題について、発生予防・早期発見・早期対応に努めるとともに、地区別に担当するスクールソーシャルワーカーを事案ごとに派遣し、教育と福祉の両面から問題解決にあたります。
○子どもの貧困の実態把握等に取り組むため、関係機関との連携強化を図ります。
【期待される成果】
○幼児・児童・生徒、保護者等の悩みや不安を解消することが期待できます。
○虐待や不登校などの問題の発生予防・早期発見・早期対応が期待できます。


※18 道徳授業地区公開講座:小・中学校、中等教育学校及び特別支援学校における道徳授業の活性化を図るとともに、保護者・都民の参加のもと、家庭、学校、地域社会の連携による道徳教育の推進に資するための東京都教育委員会主催の公開講座。
※19 リーディング・アドバイザリー・スタッフ(RAS):児童・生徒の読書活動の推進や学校図書館の環境の充実、学習資料の提供など、児童・生徒の読書への興味・関心の向上、主体的・意欲的な学習活動の支援を行うため、全区立小・中学校に配置されている。
※20 スクールカウンセラー:臨床心理士資格、臨床発達心理士又は産業カウンセラー等の心理ケアにかかわる資格を有し、各学校で児童及び生徒のカウンセリングを行う者。
※21 スクールソーシャルワーカー:臨床心理士資格、臨床発達心理士又は産業カウンセラー等のほか、社会福祉士、精神保健福祉士等のソーシャルワークにかかわる資格を有する者。問題を抱える児童・生徒が置かれた環境の改善に向けた働きかけにより、問題の解決を行う。
※22 適応指導教室(つばさ教室):長期欠席をしている不登校の小・中学生を対象に、学籍のある学校とは別に、学習の援助をしながら本籍校に復帰できることを目標に運営している教室。