平成26年6月10日
教育委員会決定
教育委員会決定
1 学校教育を取り巻く現状
(1)国等の状況
国は、少子高齢化の進行による社会全体の活力低下や地域社会、家族の変容による個々人の孤立化、規範意識の低下などによるわが国を取り巻く危機的状況を回避するため、平成25年6月に「第2期教育振興基本計画」を策定し、「自立・協働・創造モデルとしての生涯学習社会の構築」等の方向性を打ち出しています。
平成25年9月に施行された「いじめ防止対策推進法」においては、国、地方公共団体及び学校での「いじめの防止等の対策に関する基本的な方針」の策定や、いじめ問題対策連絡協議会の設置等の取組について示されました。東京都においては、平成26年7月を目途に、条例の制定及びいじめ防止基本方針等の策定が予定されています。
平成25年12月には「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」が示され、小学校における英語教育の拡充強化、中・高等学校における英語教育の高度化など、小・中・高等学校を通じた英語教育全体の抜本的充実を図るとしています。
さらに平成28年度には、急速に進むグローバル化に対応するため、小・中学校の学習指導要領を全面改訂し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される平成32年度からの全面実施を目指すとしています。
(2)港区の状況
区は、平成23年度に定めた教育目標及び教育方針に基づき、平成24年度から平成26年度までの3年間を計画期間とした「港区教育振興プラン」を策定し、人権教育の推進をはじめ、先進的な国際化に対応した教育や幼児期から続く小中一貫教育、保幼小の連携した教育、学校情報化、学校施設等の整備、特別支援教育の推進など様々な施策により、教育の充実に取り組んできました。
東京の都心に位置する港区は、社会経済状況の影響を強く受ける傾向があります。平成26年3月の港区人口推計によれば、港区の年少人口の増加は著しく、新たな学校教育推進計画の最終年度となる平成32年度には、平成26年度比で25%程度の人口増が見込まれることから、その対応が求められています。
また、人口の1割を外国人が占める地域特性に加え、国家戦略特区の規制緩和による外国人住民の増加も予想されることから、外国人住民に対する教育施策や、日本人・外国人双方にとっての国際理解教育をより一層推進する必要があります。
さらに、首都直下地震の発生が近い将来予想される中、港区においても教育課程に位置付けた地域防災訓練を推進するなど、地域の安全や安心の拠点となる学校づくりに取り組むため、地域との連携をより強化していく必要があります。
2 学校教育推進計画策定の基本的な考え方
(1)学校教育推進計画の担うべき役割、策定の必要性
区はこれまで、教育目標及び教育方針、「港区教育振興プラン」に基づき、人間尊重の精神を基調とし、学校、家庭及び地域社会等の相互の緊密な連携のもとに、子どもたちが健康で、知性と感性に富み、豊かな人間性と創造性を育む学校教育を推進してきました。
社会状況の急速な変動に伴い教育行政を取り巻く環境が大きく変化していく中、より先進的・発展的な教育施策を推進していくため、平成27年度からの10年間を見据えて策定する「港区教育ビジョン」に基づき、加えて区民ニーズやこれまでの取組の成果と課題を踏まえ、港区の学校教育のさらなる充実・発展に向け、具体的な施策や事業の立案と着実な推進を目的とした、「港区学校教育推進計画」を策定します。
(2)学校教育推進計画策定の方向性
これまで取り組んできた施策や事業の成果、国や港区における課題を踏まえ、教育ビジョンが示す「学びの循環」の中に学校教育を位置付け、ビジョンの基本的方向性である「『徳』『知』『体』を育む学び」「生き抜く力を育む学び」「地域社会で支えあう学び」を実現するための計画として策定します。
策定の方向性は以下のとおりです。
○子どもたちが安全で安心に過ごすことができ、学ぶことの楽しさにあふれる学校づくり
充実した学びの保障により、一人ひとりの子どもが安全で安心に過ごすことができ、学ぶことが喜びと感じる特色ある学校づくりを目指します。
あらゆる偏見や差別をなくし、一人ひとりが、かけがえのない存在として尊重されるように相互理解を深め、連帯感を高める教育を推進します。様々な人権課題への正しい理解と認識を深めるほか、思いやりの心や社会生活の基本的なルール等の道徳心を育む教育に取り組みます。
いじめ、体罰などの防止に向けた取組の強化、食物アレルギーなどへの適切な対応により、子どもたちが安心して、喜びを感じて学べる環境づくりに取り組みます。
さらに、子どもたちの学びの充実を図るため、将来の年少人口の著しい増加を見据えた、安全・安心を第一に考えた学校施設の整備を推進します。
○港区らしい特色を備えた質の高い教育の推進による、豊かな心と確かな学力、健やかな成長の育み
「徳」「知」「体」を育み、子どもの個性と創造力を伸ばす、一人ひとりの特性に応じたきめ細かな教育を展開します。命を大切にし他人を思いやる豊かな心の育成、基礎的な学力の定着と論理的な思考力等の養成、基本的な生活習慣の確立と健康な身体づくりを目指し、一人ひとりの健やかな成長を育む教育に取り組みます。
幼児期からの教育を基盤に、生涯を通して自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力等の資質・能力の育成を図るとともに、コミュニケーション能力や自ら課題を発見し、解決する力、社会を生き抜く力、社会に貢献する力を育成していきます。
その過程では、国際社会で活躍し、社会の変化に対応する力を育む教育に取り組みます。日本の伝統・文化を誇りに思うとともに他国の伝統・文化を尊重する心の育成、理数教育の充実や国際化への対応、幼小中の一貫性のあるカリキュラムの活用、学校情報化など創意工夫を凝らした取組により、港区の特色を備えた質の高い教育を推進します。
さらに、将来にわたって健康の重要な要素となる食育の充実や、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えた部活動の充実など、子どもの健全な成長、個性や能力の向上に取り組みます。
○家庭・地域との緊密な連携協力による、地域に愛され、開かれた学校づくり
家庭・学校・地域及び関係機関との緊密な連携協力のもと、それぞれが持つ力を生かし、役割と責任を果たすことで、地域に愛され、開かれた学校づくりを目指します。
家庭教育において安定した情緒を育み、学校教育においてより多くの地域の人々の関わりを促すことで、教職員がより教育活動に専念できる環境を整備します。
子ども自身が災害に関する知識をしっかりと身につけるとともに、他者や地域の安全に貢献できるように地域が一体となった防災教育の充実に取り組みます。
3 学校教育推進計画策定に当たって
(1)計画の位置付け(他の計画との関係)
本計画は、港区教育ビジョンや港区基本構想を踏まえ、港区基本計画や港区実施計画の内容等と整合性を図りながら、学校教育の推進における基本的な考え方々施策を示すものです。
(2)計画期間
平成27年度から平成32年度までの6年間の計画とし、中間年となる平成29年度に見直しを行います。
(3)策定体制
計画の策定に当たっては、学校教育の推進に関して様々な視点から幅広いご意見をいただくため、港区教育ビジョン会議の委員である有識者や教育関係団体の代表者、学校長、公募区民等で構成する「学校教育分科会」を設置します。また、庁内における横断的な施策の展開を図るため、関連する区長部局を含めた庁内検討組織「港区教育ビジョン推進本部」、推進本部に置く「港区教育ビジョン推進本部幹事会」及び「学校教育部会」を設置します。
(4)策定スケジュール
港区学校教育推進計画策定方針の決定 平成26年6月
港区学校教育推進計画(素案)決定 平成26年10月
パブリックコメントの実施 平成26年11月~12月
港区学校教育推進計画決定 平成27年2月
(5)計画の周知方法
港区ホームページ上に計画全文を掲載します。
広報みなとに計画策定の報告を掲載します。